NHKの生番組で解説委員が反乱!? 7人の委員のうち6人が政府の原発政策を徹底批判する快挙! - litera_web(2016年8月30日)

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8月26日深夜、NHKで生放送された討論番組『解説スタジアム』が大きな反響を呼んでいる。この日のテーマはズバリ「どこに向かう 日本の原子力政策」。NHKの7人の主要解説委員が、日本の原発政策を多角的に議論するという番組だが、驚くべきは、解説委員7人のうち6人が政府や原子力規制委員会、そして電力会社の問題点を徹底的に批判していたことだ。さらには「原子力再稼働を認めない」という驚きの発言まで飛び出していた。そのためネット上でも「国民必見」「解説委員の勇気か反乱か!」「NHKはまだ腐っていなかった」など絶賛されている。

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しかし、不思議なのは、あのNHKがなぜこんな番組をつくることができたか、だ。たしかにNHKはもともと電力会社への広告依存がないため、原発については民放よりも踏み込んだ報道をしてきた。しかし、「政府が右といえば右」という安倍応援団の籾井勝人が会長の椅子に座って以降、政権に批判的な報道はめったにできなくなり、原発についても問題点を追及するような報道はほとんどしなくなっていた。それがどうして、ここまで踏み込むことができたのか。

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「いちばんの理由は、この放送が上層部が厳しくチェックできる録画ではなく生放送だったということでしょう。しかも、籾井会長が来年1月の会長選で再選されることなく交代する可能性が高くなって、恐怖支配が少し緩くなっている。その間隙をぬって、良識派の解説委員たちが勇気ある発言をしたということでしょう」(NHK関係者)
もちろん、こうした番組が放送されたからといって、NHKの状況はけっして楽観できるものではない。今回の『解説スタジアム』にはたまたま良識派が数多く顔を揃えたが、報道局幹部や解説委員の多くは、籾井会長の動向にかかわらず、政権の顔色をうかがって官邸に尻尾をふり続ける“安倍政権の犬”のような連中がほとんどだ。
現に、今回の番組でも、“安倍首相とマスコミ幹部の会食会”の常連で“島田スシロー”の異名をもつ島田敏男解説委員は、原発の問題点を指摘するどころか、ほとんど議論に参加しようとしなかった。唯一、高速増殖炉もんじゅ」については「結論からいうと、高速増殖炉の事業はもう辞めるべきだ」と発言していたが、実はこれも、政府の「もんじゅ廃炉の方針転換を知って先取りしたのではないかと言われている。
「しかも、島田氏は番組の最後に原子力政策についての考えと提言を聞かれ、今回のテーマとはほとんど関係のない、テロ対策の必要性を力説していた。これも、安倍政権が9月の臨時国会で成立をめざしている共謀罪を意識してのものでしょう」(全国紙政治部記者)
しかし、それでも、今回の番組はNHKに安倍官邸の恐怖支配に屈しない良心が残っていることを証明した。深夜、生放送で見ることのできたこの勇気ある抵抗が広がって、NHKの報道そのものが変わってくれることを切に望みたい。
(伊勢崎馨)