http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49434
もし、『シン・ゴジラ』を観て、「立派な指導者が出てくれば、日本はまだまだやれる」と本当に思ったとすれば、そんなものは虚構のなかにとどめておかなければならない。「失われた20余年」に繰り返されてきたこうした願望の発露は、その実現可能性ではなく、その徹底的な不可能性を示していると考えるべきだ。
劇中に描かれる美しき挙国一致の「ニッポン」は、極彩色のキノコである。鑑賞する分には美しいかもしれないが、それを実際に口にすればひとは死ぬ。ありもしない「底力」とやらを信じて、身の丈に合わない行動を起こし、かえって損害を被るのはもうやめたいものである。