(言わねばならないこと)(77)権力改憲の怖さ隠す 環境広告会社代表・マエキタミヤコさん - 東京新聞(2016年8月19日)


http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/himitsuhogo/iwaneba/list/CK2016081902000120.html
http://megalodon.jp/2016-0819-0926-56/www.tokyo-np.co.jp/article/feature/himitsuhogo/iwaneba/list/CK2016081902000120.html

二〇一一年三月に起きた東京電力福島第一原発事故から三カ月で、ドイツは脱原発の方針を決めた。その後に来日したドイツ連邦議会のエネルギー部会長と面会した際に「どうして遠い日本の事故がきっかけで、脱原発できたのか」と聞くと「民主主義が育ったから。コンフォーミスト教育をやめた成果だ」という答えが返ってきた。
コンフォーミストとは、順応者とか従う人という意味で、自分の意見を言わずに権力者に従う人などを指す。コンフォーミスト教育は、こうした人間を生みだす教育のことだ。
ドイツは、ヒトラーを生みだした原因の一つにコンフォーミスト教育があったと考え、戦後はそれをやめたという。それに比べて日本はどうだ。むしろ、戦後に強まったのではないか。
意見を言わずに、ずるずる流されるのは危険だ。安全保障関連法は怖い法律なのに、その怖さが見えていない人が、朗らかに法律を成立させた側に投票してしまっている。でも、いつか怖さが見え、はっとするときが来る。
今すべきことは、きちんとした情報を伝えること。例えば、無関心といわれる人たちは本当に無関心なんだろうか。情報が伝わってないだけじゃないのか。それを「無関心」と名づけることは間違いだと思う。
参院選の結果、改憲勢力議席の三分の二を占めた。しかし、これですぐに改憲できるわけじゃない。国民投票があるから、最後は国民の選択になってくる。権力の側は改憲の先にある怖さを隠そうとする。私たちは隠せないように情報発信していくことが大事だ。
<本名は内田(旧姓・前北)美弥子。>1963年生まれ。環境広告会社「サステナ」代表。夏至冬至の夜に2時間、電気を消して過ごす運動「100万人のキャンドルナイト」の呼び掛け人。