上関原発の埋め立て免許延長 山口県が許可「国策の位置付け」- 東京新聞(2016年8月3日)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016080390135934.html
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◆福島事故受け中断 3年留保
山口県は三日午前、中国電力が申請していた上関(かみのせき)原発(同県上関町)の建設に必要な海の埋め立て免許の延長を許可した。原発本体の着工時期の見通しがつくまで工事をしないよう要請する条件付き。二〇一一年三月の東京電力福島第一原発事故を受け工事は中断し、県は許可判断を先送りしていた。 
県は方針転換の理由を「上関原発が国のエネルギー政策に位置付けられていることが具体的に示された」と説明。止まっていた新規原発計画が再び動きだす背景には安倍政権の原発活用路線があるとみられ、地元住民からは反発も出ている。
弘中勝久副知事が県庁で迫谷章副社長に許可書を交付した。免許延長は一九年七月六日まで。迫谷副社長は工事について「時期は見通せていない。要請を重く受け止め慎重に検討する」と話した。
国電は〇八年十月に免許を取得。〇九年十月に着工したが、反対派住民の抗議活動で工事は進んでおらず、今回もすぐに中国電原発建設に向け本格着工する可能性は低いとみられる。建設予定地の対岸にある離島・祝島の反対派団体「上関原発を建てさせない祝島島民の会」の清水敏保代表(61)は「常識で考えればありえない判断だ」と話した。
国電は免許期限の一二年十月、「上関原発が必要という考えは変わっていない。免許を持っている現状は維持したい」として三年間の延長を申請した。当時の山本繁太郎知事は「法律に基づき適正に審査する」としたが、「原発事故後の特殊状況下」として判断してこなかった。
県は一二年十月以降、「上関原発の国策上の位置づけが不透明」として計七回の補足説明を中国電に求めていた。村岡嗣政知事は今年六月、中国電から七回目の補足説明資料を受け取ったと明かし「担当部局で精査する。不許可にするならば相応の根拠が必要」と述べていた。