松戸 自治会集会所から新風を 管理人は大学院生:千葉 - 東京新聞(2016年7月18日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201607/CK2016071802000147.html
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千葉大大学院生の寺田光成さん(25)と、マリア・エルミロヴァさん(25)=ロシア出身=が三月から、松戸市の岩瀬自治会集会所に管理人として住み込み、自治会や地域に新鮮な風を吹き込んでいる。自治会役員は「若い二人が化学反応を起こして活性化すれば」と期待。ともに街づくりが研究テーマの寺田さんたちは「経験は研究に生かせる」と、学業と管理人の「二足のわらじ」を満喫している。 (飯田克志)
「子どもたちがチャーリーいる? マリアいる? と外から声をかけるほど」。鈴木直樹会長(66)がこう言って、「チャーリー」の愛称で親しまれている寺田さんら二人の活躍に目を細める。集会所の庭で野菜作りを楽しむマリアさんは「いろいろな人が声を掛けてくれてうれしい」とほほ笑む。
岩瀬地区は松戸駅近くの古くからの住宅街。自治会には約六百三十世帯が加入。集会所は二階建てで、一階がホール、二階に洋室二部屋と、2DKの管理人の居住スペースがある。
同地区は千葉大松戸キャンパスも近く、子どもの視点から見た街づくりが研究テーマの寺田さんは以前から、自治会の催しなどを通じて交流していた。鈴木さんが二月、昨年九月から不在だった管理人について「家賃はかからないし、やらないか」と打診した。
自治会は春の桜まつりや、集会所を会場にだれでも参加できる「ワインの会」など活発に活動。住民の交流を深め、首都圏直下型地震など大規模災害に備えた地域づくりを目指している。一方で、若者ら自治会未加入の住民も少なくなく、鈴木さんは「若い二人の発想と行動力に期待して」と振り返る。
自治会の「ニュープロジェクト・コーディネーター」でもある二人は、朝夕に集会所出入り口のシャッターを開閉し、掃除や利用申し込みの応対、催しの手伝いなどに加え、自治会の会議にも参加。ネット世代だけに、マリアさんが趣味の絵も生かし、ホームページをリニューアル。フェイスブックとともに情報発信を担う。
子どもが集会所に来るきっかけづくりや多世代交流のために、卓球台を置くことも実現。早速、中学生たちと活動内容を話し合った。神田正昭副会長(68)は「卓球では子どもの活動は子どもに任せようと提案してくれた。固定観念のあるわれわれでは思い付かない」と若者ならではのアイデアに感心していた。
自然と芸術を生かした街づくりを研究するマリアさんは「特別な経験。日本語をうまく話せないから、絵でもっとコミュニケーションしていきたい」、寺田さんは「あまり関わりたくないという自治会のイメージを変える実験。学ばせてもらうことは多く、多世代の交流を広げていきたい」とそれぞれ抱負を述べた。