(いま読む日本国憲法)(17)天皇の代行に「摂政」 - 東京新聞(2016年7月17日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/imayomu/list/CK2016071702000111.html
http://megalodon.jp/2016-0719-0909-25/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/imayomu/list/CK2016071702000111.html


天皇が幼少だったり、重い病気や事故で公務を行えなかったりする場合、代わりを務める「摂政(せっしょう)」について定めた条文です。
皇室に関する事項を規定した法律、皇室典範(こうしつてんぱん)によると、摂政を置くのは「天皇が成年(天皇の場合は十八歳)に達しないとき」「天皇が、精神若(も)しくは身体の重患又(また)は重大な事故により、国事に関する行為をみずからすることができないとき」。(1)皇太子又は皇太孫(2)親王及び王(3)皇后−などの順に、成年の皇族が就任するとしています。
摂政は古くからある制度で、六世紀末、推古天皇の時代に聖徳太子が就いたことが有名です。今の憲法下で、摂政が置かれたことはありません。豊臣秀吉で有名な「関白」に関する規定は、今の憲法にも旧憲法にもありません。
憲法五条の「前条第一項の規定を準用」とは、天皇は「国政に関する権能を有しない」とした憲法四条一項のこと。天皇が象徴的存在であるのと同様、代役の摂政も国政に関する権限を持たないと念押ししているのです。
天皇の一時的な病気療養や外国訪問など、摂政を置く必要がない時は、「国事に関する行為を委任することができる」とした憲法四条二項が適用されます。
ちなみに今、天皇陛下生前退位の意向を示されていることが話題になっていますが、摂政はあくまで代行であり、皇位継承とは違います。皇室典範も、天皇が再び国事行為を行えるようになった時は「摂政を廃する」と記しています。
自民党改憲草案は、摂政については現行条文と大きく変わりません。





自民党改憲草案の関連表記(抜粋)
皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名で、その国事に関する行為を行う。