(いま読む日本国憲法)(16)皇位の世襲だけ規定 - 東京新聞(2016年7月16日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/imayomu/list/CK2016071602000202.html
http://megalodon.jp/2016-0719-0906-44/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/imayomu/list/CK2016071602000202.html


皇位世襲によって継承していくことを定めた条文です。具体的にどう継承するかには触れず、皇室に関する事項を規定した法律「皇室典範(こうしつてんぱん)」に委ねているのがポイントです。
一九四七年に制定された今の典範は、第一条で「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」として、父方に天皇を持つ男系の男子による皇位継承を定めています。男系男子による継承は旧憲法大日本帝国憲法)の時代も同じでしたが、旧憲法は「皇男子孫之ヲ継承ス」と憲法自体に明記していました。
つまり、旧憲法では、皇位継承のやり方を変えるには憲法を変える必要がありましたが、今は必要なく、皇室典範を見直すかどうかという問題になります。かつて小泉政権が、女性・女系天皇を容認するための典範改正を目指したことがあります。
最近、天皇陛下が意向を示されていることが分かった生前退位については、皇室典範に規定がありません。典範四条は「天皇が崩じたとき」皇位継承第一順位者が直ちに即位すると定めており、崩御に先立つ退位はできないと解釈されてきました。実現するには典範の改正が必要です。
憲法下の旧皇室典範憲法と並ぶ最高法とされ、帝国議会の関与する余地がありませんでした。今の典範について憲法二条は「国会の議決」を定めており、一般の法律と同様、主権者である国民の意思を間接的に反映できる仕組みになっています。
自民党改憲草案は、二条については現行の条文とほぼ同一です。
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「読むための日本国憲法 東京新聞政治部編」(文春文庫)をベースに、憲法の主な条文の解説を随時掲載しています。二三条まで紹介した後、参院選に際して休載し「参院選編」のみ掲載していましたが、本編を再開します。天皇生前退位を巡る最近の議論を踏まえ、二条に戻りました。
自民党改憲草案の関連表記
皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。

読むための日本国憲法

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