テリー伊藤さん!依存症についてコメントしないで!です - in a family way(2016年6月30日)

http://officerico.co.jp/blog/?p=4068

高知東生さんの事件のマスコミ報道は、相変わらず、誰のためにもならないひどい扱いばかりで、依存症問題の対策推進に奔走している、関係者の一人としては大変憤りを感じています。
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ちなみに「刑の一部執行猶予」という制度が、今年の6月1日から施行されたこと、勿論あなたはご存じないかと思いますが、
刑の一部執行猶予
あなたのように叩きのめすだけではなく、こうして国をあげて、どうやったら回復し、社会復帰できるかについて、どんどん新しい取り組みが始まっています。
古い道徳概念では、何の改善もないと、日本の社会も気がつき始めたからです。

刑の一部執行猶予
あす制度始動 薬物依存、社会で更生 - 毎日新聞(2016年5月31日)

http://mainichi.jp/articles/20160531/ddm/002/040/118000c


保護観察拡大し支援
刑務所で長期服役させるのではなく、社会の中で再犯防止を図る「刑の一部執行猶予」制度が6月1日から始まる。保護観察期間は従来より長くなり、再犯率が高い薬物依存者の更生や社会復帰につながることが期待される。新しい更生プログラムの作成も進むが、更生保護施設や医療機関など、立ち直りを支援する施設の体制は十分とは言えず、課題も残っている。【近松仁太郎、鈴木一生、和田武士】

「薬物事件は、長く刑務所に服役させても再犯率が高いという実感がある。刑務所ではなく薬に手が届く環境に身を置いた上で、やめさせることに意味がある」。ベテラン裁判官は一部執行猶予制度の意義をそう強調する。
社会で更生を目指す手法としては、現在も保護観察所の監督を受けながら社会復帰を目指す保護観察制度がある。しかし、刑期が終われば監督もできなくなるため、実刑判決を受け、刑期途中で仮釈放された人の保護観察期間は平均約4〜5カ月にとどまる。薬物から離脱する更生プログラムを駆け足でこなして保護観察が終わり、再犯に至るケースも少なくなかった。
薬物事件で一部執行猶予が適用されると、服役後の保護観察期間は1〜5年と大幅に延びる。この期間に更生プログラムを繰り返し受けたり、自助グループに加入したりするなど、社会復帰に必要な準備を進められるようになる。
法務省は、国立精神・神経医療研究センター(東京都)の松本俊彦・薬物依存研究部長の監修により、最長で5年の期間に対応できる新たな更生プログラムを作った。自分自身の物事の受け止め方や感じ方を踏まえて対応力を身に着ける「認知行動療法」によるものだ。
プログラムでは、薬物が欲しくなる引き金は何か▽どうすれば誘惑を断ち切れたか▽今後も断ち切る動機付けになるものがあるか−−などの場面を想定。これを何度も反復し、薬物依存からの脱却につなげる。薬物をやめる意志を維持するために地域の自助グループとつながる方法など、孤立化させない対策も盛り込まれており、松本部長は「これまでは3カ月程度の短縮版だったが、本来の更生プログラムをやっと実施できる」と期待する。
今年で創設100年目を迎え、薬物依存症者を多く受け入れている更生保護施設「両全会」(東京都渋谷区)も約1年かけて実施する独自の薬物離脱プログラム作りを始めた。川崎道子理事は「薬物からの離脱は、前進と後退を繰り返す長期戦になる。薬の害を説くだけでなく、生活全体の改善を通して薬に頼る気持ちが消えていくような指導を目指したい」と話している。

施設不足、連携が鍵
6月1日に制度がスタートすると、その日から全国の裁判所で一部執行猶予判決が言い渡される可能性がある。法務省幹部は「覚せい剤取締法違反で服役し、仮釈放になる年間約4000人が対象となる可能性がある」とみる。こうした人には保護観察所で薬物離脱の専用プログラムを定期的に受けることが義務付けられる。1人あたりの保護観察期間も長くなるため現場の負担増を懸念する声は根強いが、全国約1000人の保護観察官が大幅に増員される予定はないという。
法務省の認可を受け、出所しても帰る家がない人に一時的な居住スペースや食事を提供し、社会復帰を支援している更生保護施設も、受け皿としての役割を果たせるか不安が残る。全国103の更生保護施設に入所した薬物犯や性犯罪者、高齢者などの「処遇困難者」は、2009年度の2008人から14年度は3902人とほぼ倍増した。職員の負担が増加して入所者を受け入れられない状態となり、定員に対する入所率は70%台にとどまっているのが現状だ。法務省は、薬物依存者を重点的に処遇する更生保護施設を15から25に拡充するなどしているが、担当者は「常勤職員を増やすなど足元の強化が必要だ」と強調する。
医療の充実も欠かせない。一般病院が外来の薬物依存症者に専門治療をした場合、今年度から診療報酬の対象になったが、出所者の受け入れに慎重な病院も多い。国立精神・神経医療研究センターによると、専門治療に取り組んでいるのは全国でわずか20施設程度。医師などの配置数を満たして診療報酬を申請できるのは、うち約半数程度とみられ、治療環境の整備にもまだ時間がかかりそうだ。
日本弁護士連合会刑事弁護センター委員の宮村啓太弁護士は「社会内の連携がうまくいかないと制度は成功しない。更生に有効な環境やプログラムが広がっていくかが課題になる」と指摘している。