(放送芸能)ビートルズを継ぐ 来日50年 語り奏でる「知らない世代」 - 東京新聞(2016年6月26日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2016062602000159.html
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ビートルズの来日から29日でちょうど50年を迎える。熱気と興奮に包まれた東京・日本武道館の公演は伝説となり、その後の日本の音楽や若者文化に大変革をもたらした。半世紀を経た今、ビートルズの衝撃を実体験として知らない世代も「あの時」を語り継ごうとしている。(藤浪繁雄)
夜明け前の午前三時四十分すぎ、ポール・マッカートニーを先頭にジョン・レノンジョージ・ハリスンリンゴ・スターが東京・羽田空港に到着した日航機からタラップを下りてきた。四人は翌三十日から七月二日まで武道館で計五公演をこなし、三日には次の公演地のフィリピン・マニラへ向かう。わずか五日間、百三時間の滞在だった。
今月中旬、東京・銀座のホール。来日したビートルズが着ていたのと同じ日航の法被姿で、四人の女性が五十年前の演奏曲を弾き始めた。ただし、楽器はバイオリン、チェロ、ピアノとクラシック音楽の編成。ビートルズコピーバンドはあまたあるが、中でも「1966カルテット」は異色だ。この日は「武道館の再現」をテーマに全十一曲を演奏。曲間の短いトークビートルズが語った内容を日本語訳する徹底ぶりだった。
ビートルズ世代より二世代ほど若い」という四人は二〇一〇年デビュー。ビートルズ作品を六十曲以上も弾きこなし、オリジナルをほうふつさせたり、クラシック色の濃いアレンジを効かせたりと独自の感性で表現する。「ビートルズの曲は美しく、喜怒哀楽を感じられる。いつも新鮮な気持ちで向き合える」とメンバーたち。今年は二十五曲入りCD「ベスト・オブ・ベスト 抱きしめたい」も出した。これからも「自分たちの視点で名曲を追求していく」。
落語家の川柳(かわやなぎ)つくし師匠(47)も来日五十周年を祝い、三十日夜に東京・神田錦町で創作噺(ばなし)「ビートルズ落語」を披露する。
来日当時は、エレキギターやドラムを大音量で流すロック音楽は不良の温床。ビートルズの公演でも多くの中学・高校が「行ったら停学」と神経をとがらせた。つくし師匠はそんな世相を題材に、当時少年だった男性が泣く泣く鑑賞をあきらめ、チケットを「お宝」にして五十年後、その子どもがお宝チケットを手にタイムスリップし武道館へ向かうという噺に仕上げた。
ビートルズ知名度が高く、一曲も知らない人はほとんどいない。噺は妄想。フワッと面白くなれば」とつくし師匠。当日は古典落語「青菜」をパロディーにした「青菜・ホールド・ユア・ハンド」なども予定する。「ビートルズにも、落語にも興味を持ってほしい」
※つくし師匠の落語会は30日午後7時、神田錦町シンコーミュージックアネックスビルで開演。29日〜来月3日に同所で開催されるイベント「ビートルズと日本 TOKYO 5DAYS」の一環。29日のトークイベントにはビートルズ本の著者、藤本国彦氏が登場する。詳細は https://www.shinko-music.co.jp/beatles50/