18歳が見定める未来 「子どもの環境大事に」「改憲は具体的議論を」- 東京新聞(2016年6月22日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201606/CK2016062202000273.html
http://megalodon.jp/2016-0624-0928-53/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201606/CK2016062202000273.html

参院選が二十二日公示され、十八、十九歳が一票を投じる新しい時代が幕を開けた。経済などの先行き不透明で、手探りを続ける社会で生きてきた世代。高度経済成長やバブル経済を経験した「先輩」たちとは、異なるまなざしも持っている。候補者は、彼らの心に言葉を届けられるだろうか。十八日間の選挙戦が始まった。
18歳は、右肩上がりの経済成長が望めない中、「次の一手」も見つからず、価値観が揺れ動く時代を生きてきた。
2002年、学校の週5日制が完全実施され、知識の詰め込みよりも、考える力を伸ばす「ゆとり教育」路線が推し進められた。しかし学力低下が叫ばれると国は「脱ゆとり」へとかじを切る。
低迷を続ける経済のてこ入れに、終身雇用など日本型の雇用を変える構造改革が始まったが、待っていたのは格差の拡大。08年のリーマン・ショックで、職を失った多くの非正規雇用の人たちが「年越し派遣村」で命をつないだ。
閉塞(へいそく)感が強まる社会の「チェンジ」を求める空気に押され、09年に自民党から民主党へと政権交代した。だが11年、東日本大震災が発生。多くの人命が奪われ、原発の「安全神話」が崩れた。先行きの見えない不安の中、自民党が政権に復帰する。
インターネット、スマートフォンの普及で趣味が多様化し、音楽やテレビ番組の「メガヒット」が相次ぐ時代は終わった。AKB48などわずかな例外はあるものの、誰もが盛り上がれる話題は減った。
現在、世界は「過激主義」の暗い影に覆われている。パンドラの箱を開けたのは、01年の米中枢同時テロ。報復の連鎖は、異なる価値観を排除する「分断社会」の溝を深めている。
この時代に、多感な思春期を過ごした若者たちから、新たな動きも生まれている。物質的な豊かさを求めない、いわゆる「さとり世代」は、13年に流行語大賞にノミネートされた。昨年8月には、政治に関心がないとされてきた若者がネットでつながり、安全保障関連法に反対する大規模なデモが起きた。 (福田真悟)