「沖縄変える」 新たな有権者18、19歳動く - 東京新聞(2016年6月20日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201606/CK2016062002000116.html
http://megalodon.jp/2016-0620-0957-05/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201606/CK2016062002000116.html

選挙権を十八歳以上とする改正公職選挙法が施行された十九日、沖縄の女性暴行殺害事件に抗議する県民大会の会場には、新有権者の十八、十九歳の姿もあった。米軍基地が集中し軍関係者による事件事故が絶えない理不尽な現状。「声を上げなきゃ何も変わらない」。初めての選挙への扉を開けた彼らは早速、行動で示した。 (酒井翔平、辻渕智之)
三日前に梅雨明けし、炎天下となった那覇市の会場。琉球大二年の神村叶人(かみむらかなと)さん(19)は帽子もかぶらず「地元で起きた事件だけに、恐怖を感じた」と、ステージを見つめた。二十歳の被害女性が住んでいたうるま市で生まれ育ち、「何で沖縄には米国の軍隊がいるんだ」と違和感を感じてきた。
沖縄の十八、十九歳の新有権者は約三万三千人で、県内有権者の3%になる。「一人の力はわずかだけど、今こそ声を上げなきゃ」と抗議集会に初めて参加した。将来は沖縄で教師として働くのが夢だ。「教え子にこんな理不尽な思いを経験させたくない。基地に頼らずとも沖縄は自立できる。参院選では、沖縄の民意を本土に伝える候補者を見極めたい」
沖縄国際大二年の具志堅紗英(さえ)さん(19)=南城市=は「事件は人ごととは思えなかった。怖くて夜は出歩けなくなった」と話す。会場では、大学のリポートのため参加者に話を聴いた。基地で働く人、米兵と結婚した人たちの気持ちも無視できないと思う。「候補者の主張を比較して、自分の考えも深めたい」と投票までに自分の答えを探すつもりだ。
島田泰盛(たいせい)さん(19)=沖縄市=が通った高校は、移設問題で揺れる米軍普天間(ふてんま)飛行場(宜野湾市)に近く、騒音で授業が中断した。「抗議を重ねても変わらないから、半分あきらめもある。でも選挙に行けば政治を変えられる可能性はきっとある」と海兵隊撤退を求める紙を掲げた。
大学を目指して浪人中の新垣諒(しんがきりょう)さん(18)=那覇市=は、この日の朝六時から会場準備のアルバイトをした。基地が「沖縄に押しつけられている」と思う一方、「身近なのは奨学金の問題」だ。「借りないと進学は難しいけど、何百万円も返せるか怖い。参院選では奨学金のことを考え、安心して就職できる経済状況をつくってくれる政治家を選びたい」