<石巻3人殺傷>1、2審死刑の元少年、16日に上告審判決 - 毎日新聞(2016年6月15日)

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宮城県石巻市で2010年に3人を殺傷したなどとして殺人罪などに問われ、1、2審で死刑判決を受けた事件当時18歳の元少年(24)に対する上告審判決が16日、最高裁第1小法廷(大谷直人裁判長)で言い渡される。裁判員裁判で少年事件に死刑が言い渡された唯一のケース。判決を前に、被告の元少年は仙台拘置支所で毎日新聞の取材に応じ、複雑な胸中を明かした。
「弁護士のように手を差し伸べてくれる人がいれば、大切な人を失った遺族もいる。その真ん中に俺がいて、一言では言い表せない気持ちがある」。事件から6年。元少年は慎重に言葉を選びながら心境を語った。
両親は幼いころに離婚した。元少年は母と新たな交際相手との暮らしになじめず、小学5年のころから祖母と暮らすようになった。「家庭愛に飢えていた」という。一方で顔にたばこを押しつけるなど、交際していた少女(当時)に暴力を振るった。実家に逃げ帰った少女を力ずくで連れ戻そうとして事件は起きた。
1審・仙台地裁判決は「少女に対する感情は支配的なもので愛情とは言えない。ゆがんだ人間性は顕著だ」と指摘。凶器を準備していたことなどから「邪魔する者は殺害する意図で周到な計画を立てた」と認定している。
これに対し、元少年は「事件を計画なんてしていない。(1審判決には)頭がくらくらするようなことがたくさん書いてある」と強調。「裁判員は審理が初めてで(自分の主張を)しっかりと聞いてもらえなかった」と、納得できない様子で語った。
一方で「遺族が自分を同じ目に遭わせたいと思うのは自然な感情だと思う」と話し、死刑を求めている被害者遺族の心情に理解を示した。「謝罪と後悔が頭の中をぐるぐる巡っている。被害者を思い、天に向かって手を合わせることしかできない」。そう言って視線を落とした。
1、2審判決は元少年の更生は期待できないとした。弁護側は計画性を否定し、被告の生い立ちや未熟性を考慮して死刑を回避するように主張している。【島田信幸】

【ことば】石巻3人殺傷事件
1、2審判決によると、2010年2月、当時18歳7カ月だった元少年が、かつて交際していた少女(当時)を連れ戻そうと、後輩の元少年と一緒に少女の実家に侵入。交際に反対していた少女の姉(当時20歳)が警察に通報したことに立腹し、姉と少女の友人女性(当時18歳)を牛刀で刺殺。同じ部屋にいた姉の友人男性にも重傷を負わせた。後輩の元少年は殺人ほう助罪で懲役3年以上6年以下の不定期刑が確定した。