生活保護費着服 貧困ビジネスか 不動産会社社長を再逮捕 - 毎日新聞(2016年5月31日)

http://mainichi.jp/articles/20160601/k00/00m/040/098000c
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神奈川県警 業務上横領容疑で
所有するアパートの入居者の生活保護費を着服したとして、神奈川県警組織犯罪分析課などは31日、相模原市緑区西橋本3、不動産会社「静興建設」社長、木内忠夫容疑者(62)=詐欺罪などで起訴=を業務上横領容疑で再逮捕した。相模原市などにアパート12棟54部屋を所有し、常時40〜50人の生活保護受給者を住まわせていたといい、同課は「貧困ビジネス」とみて実態解明を進める。
逮捕容疑は、相模原市のアパートに入居していた49〜54歳の生活保護受給者の男性3人の通帳などを管理し、3人がアパートからいなくなった後の2014年12月〜15年12月、3人の口座に入金された生活保護費計約122万円を着服したとしている。「未納金があったので口座から金を引き出したが、着服はしていない」と容疑を否認しているという。
県警や市によると、木内容疑者は入居者と一緒に窓口で生活保護を申請。通帳や印鑑を預かり、生活保護費を代理受領する「金銭管理契約」を結び、入居者には生活費として週に5000円程度を渡していた。
少なくとも10世帯と契約を結び、家賃を除き、月に約7万円支給される生活保護費の大半を、管理費などの名目で徴収していたとみられる。解約時には原状回復費として54万円、喫煙者の場合は150万円を徴収していたほか、1年おきに更新料と敷金を取っていたという。
木内容疑者は公園やインターネットカフェでチラシを配るなどして入居者を集めており、県警の調べに「路上で寂しい生活をする人たちを集めた。ボランティア精神だった」などと供述しているという。
相模原市は13年秋ごろ、入居者の劣悪な生活環境に気付いたが、「木内容疑者と受給者との間の契約なので手の出しようがなかった」という。その後、国や弁護士らと相談して指導指針を作り、管理費や更新料、家賃などの上限額を定めたうえで、入居者には転居を促してきた。
市から情報提供を受けた県警は5月10日、本人になりすまして入居者名義の通帳を作り、金融機関からだまし取ったとする詐欺容疑などで木内容疑者を逮捕していた。【村上尊一、高橋和夫