「子どもや親の不安を地域で包み込んで」 養育を語る会100回記念シンポ:東京 - 東京新聞(2016年5月17日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201605/CK2016051702000160.html
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教育評論家の芹沢俊介さんが主宰する「養育を語る会」の百回記念シンポジウム「子どもたちはいま、不安に生きている」が十四日、都内で開かれ、各地から約百人が参加した。
芹沢さんが冒頭、講演し、児童相談所に通告される年間八万件の虐待について「外側にはさらに見えない虐待がある。孤独や寄る辺ない不安な状態にある子どもや親に注目することで見えてくる」と強調した。
「受けとめ手とは誰か」をテーマにしたパネルディスカッションでは、埼玉県の児童養護施設「光の子どもの家」職員の鈴木洋一さん、ドキュメンタリー映画監督の刀川和也さん、埼玉県で不登校の子らのフリースクールを運営する増田良枝さん、長野県の特別支援学校教諭石川俊浩さん、横浜で里親制度を使ったファミリーホームを運営した相馬豊さんの五人も登壇。
鈴木さんは「(子どもを虐待した)親の中には『子どもから引き離された』と怒っている人が少なくないが、私たちは『遠い親戚みたいな感じで一緒にやっていこう』と呼び掛けている」と話した。
刀川さんは、「子ども食堂」に集う困窮家庭の子どもとの交流を通して「子どもらが求めているのは人のぬくもり。困窮した親への地域のまなざしが厳しい。親がもっと不安を語れるよう、親も含めて包み込んでいけるかかわり方はできないか」と問いかけた。
同会は一九九八年発足、児童福祉や障害者福祉の現場職員らが隔月で集ってきた。家族関係が崩壊し、親がいても施設に入る子が激増する中、子育ての切実な課題を話し合う場となっている。問い合わせは芹沢さん=電0471(85)8699=へ。 (佐藤直子