<大人って…千葉大生の政治参加>無関心の理由 自分の一票じゃ変わらない!?:千葉 - 東京新聞(2016年5月14日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201605/CK2016051402000167.html
http://megalodon.jp/2016-0514-1058-59/www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201605/CK2016051402000167.html

「『選挙どう思う』って聞かれたら、この人やばい、とっつきにくいなって思うよね」。千葉大で十一日、「若者がなぜ投票へ行かないのか」をテーマに学生たちがグループに分かれ話し合った。ある学生の言葉に、討論していた他のメンバーが一様にうなずいた。
「周りの人が行かないから」「自分の一票じゃ何も変わらないと思う」
学生たちは投票へ行かない理由を、自身に重ねて付せんに書き出した。工学部四年の若林由季さん(21)は、「選挙に行くことで堅く見られそう。周りの目を気にして行きたくない気持ちもある」と本音を漏らした。
投票率が低いから、若者目線で政策をやっても…と感じちゃうのかも」「候補者との温度差が大きい」と議論は白熱。法政経学部二年の斎藤哲大(ひろき)さん(19)は、「僕が議員インターンをした時は、高齢者を中心にあいさつ回りをしていた。支援者イコール高齢者という感じだった」と経験を語った。
「人口比でも高齢者が圧倒的に多いんですよ」。討論に参加していた千葉市選管事務局の清水公嘉さんが切り出した。市選管が昨年四月の市議選の投票率を基に、各年代の投票者が何人くらいいるのか、年齢別人口を基に推計したデータがある。
投票率が最も低かった二十〜二十四歳は一万一千二百十七人(投票率23%)で最も高かった六十五〜六十九歳は三万九千三百三十人(同57%)。二十代前半の若者の投票者と比べ、人口比も高い六十代後半の投票者数はおよそ三・五倍に上った。清水さんは「若者の意見が取り入れられるためにも、投票に行くことが重要なんです」と呼び掛けた。
「どんな政策も全部同じように聞こえる」「そもそも投票に行く気もないし、投票の仕方も分からない」
政治や選挙への否定的な意見が書かれた付せん。彼らの“無関心さ”を露呈したデータもある。討論にも参加する法経学部四年の今井隆太さん(22)らが行った、二〇一四年十二月の衆院選千葉大生の選挙行動調査(回答二百五十二人)で、自分が投票する選挙区選出の衆院議員の名前を知っていた学生は、30・6%(七十七人)にとどまった。68・3%(百七十二人)は知らないと答えた。
「政策についてイエスかノーかの投票は明確だけど、それを決める人を選ぶのは難しい」と若林さん。「まずはゆとり世代が議員になるとか。五十〜八十代の現役の議員がずっと生きているわけじゃない。政治は、時代に合わせて変化することを一番拒んでいる場所じゃないかな」と指摘した。
斎藤さんは、極端な意見を振りかざす政治家を見て「政治に関わらない方が良いのかな」と感じることもあるという。「政治に興味を示すと、周りから『意識高いね』と距離を置かれることもある。そういう空気をなくす教育こそが必要だと思う」
四月から始まった千葉大の「若者の政治参加」を考える授業(全八回)。前半四回は講義主体だったが、後半は、政治参加を促進するにはどうすればいいか、学生たちが討論を通じて考え、千葉市に提言する。 (柚木まり、中山岳)