(政界地獄耳)サンダースおじさんの話を聞こう - 日刊スポーツ(2016年5月10日)

http://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/1644803.html
http://megalodon.jp/2016-0510-1426-19/www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/1644803.html

★日本政界は、米大統領選の共和党候補にトランプが有力になったことから、孤立主義による「安保タダ乗り論」をめぐり自民党の外交・安全保障・防衛をかじった議員たちは大騒ぎだ。しかし、結果はともあれ世界の大勢がトランプの唐突な問題提起に大わらわだろうから、この際いろいろ前提条件を取り除いて考察するいい機会になるだろうし、そうすべきだろう。
★しかし、もう1つ大きな問題提起をしているのがクリントン民主党候補の座を争っているサンダースの発言だ。米国の誰もが知る問題点、格差社会や差別社会に真っ向から議論を挑み、若者から大きな支持を受けている。陣営が制作した「正義とは」というビデオには米国のさまざまな病巣が描かれ、サンダースの演説が流れる。
★抜粋すると「道徳的生き方とは何か。不正義とは何か。上位1%の10分の1という、ごくわずかな人たちがその下の90%の人たちとほぼ同じ富を所有していることだ。何百万人の人たちが長時間労働し、明らかな低賃金で懸命に働き、それでも家庭で待つ子どもに、まともな食事を与える収入を得ることができない。不正義とは米国が世界のあらゆる主要国の中で、子どもの貧困率が最も高いということだ。私たちがどうして『道徳』と『正義』を語ることができようか。自分の国の子どもたちに背中を向けているというのに。私たちの国は多くの財源を世界で最も多くの人たちを投獄するために使いながら、自分の国の若者たちに仕事や教育を与えるための福祉の財源はないという。私たちは世界の主要国で唯一、権利としての医療をすべての国民に保証していない。貧困にあえいでいる人たち。彼らにも病気になったら医者に行く権利はある。私たち米国人は親の所得に関係なく、大学教育を受けることができるはずだ」。サンダースの提起にこそ、日本の政治家は耳を傾けるべきではないか。(K)※敬称略

「正義とは」バーニー・サンダース 2016年 (日本語字幕)