LGBTの8割超 「学校で暴言」経験 人権団体調査 いじめ対策不十分 - 東京新聞(2016年5月7日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201605/CK2016050702000139.html
http://megalodon.jp/2016-0507-1039-00/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201605/CK2016050702000139.html

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは六日、日本の学校での性的少数者(LGBT)の子どもに対するいじめの調査報告書を公表した。アンケートに回答した二十五歳未満のLGBT当事者約四百五十人のうち、86%が「オカマ」といったLGBTへの暴言を、教師や児童・生徒が言うのを聞いたことがあると回答。「教師が言うのを聞いた」も29%に上った。報告は「いじめ対策や教員研修が不十分。嫌悪に満ちた言葉が子どもを自己嫌悪や自傷に追い込んでいる」と指摘し、教員研修の義務化などを政府に求めた。
アンケートは昨年、心と身体の性が異なるトランスジェンダーや同性愛などLGBT当事者にインターネットで実施した。
LGBTに対する差別的な暴言や冗談を、直近の年度に学校で聞いた経験を複数回答で尋ねたところ、「生徒や教師が言った」が86%、「教師が言った」は29%に上った。暴言を耳にした教師のうち、注意したのは7%にとどまり、60%は特に対応せず、18%は自らも暴言を吐くなどした。
東京、神奈川、埼玉など十四都府県の当事者約五十人にはインタビューを実施。LGBTは気持ちが悪いと教えられたという名古屋市の女性は「私が悪いという思いを今も引きずっている」と回答した。自認する性の制服やトイレが使えず、退学や不登校に至った例を挙げ「日本の学校は男女の分離が厳密で、性別違和を覚える生徒への対応が遅れている」とも指摘した。