<親子で学ぶぅ こどもの日編> 子どもの幸せ守る支援の輪 - 東京新聞(2016年5月5日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201605/CK2016050502000145.html
http://megalodon.jp/2016-0505-1013-26/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201605/CK2016050502000145.html

きょうはこどもの日。ことしも「親子で学ぶぅ」は1ページ目に載(の)せました。今回(こんかい)のテーマは「子どもの貧困(ひんこん)」です。日本は世界(せかい)の中でも豊(ゆた)かな国(くに)の一つといわれていますが、生活(せいかつ)が苦(くる)しい家庭(かてい)で暮(く)らす子どもの割合(わりあい)が増(ふ)えていて、深刻(しんこく)な問題(もんだい)になっているのです。 (学ぶぅ担当デスク・城島建治)
生活が楽(らく)でない家庭で暮らす子どもの割合を「子どもの貧困率(りつ)」といいます。子どもの貧困率は、少しずつ増えていて2012年(ねん)には16.3%になりました。6人に1人の割合です。お父(とう)さんお母(かあ)さんと3人暮らしの家庭の場合(ばあい)、1カ月の収入(しゅうにゅう)が平均(へいきん)して17万6000円より少ない家庭の子どもが対象(たいしょう)の目安(めやす)になります。ここから家賃(やちん)や食費(しょくひ)、教育(きょういく)費を払(はら)うのでやりくりが大変(たいへん)で、経済的理由(けいざいてきりゆう)で高校(こうこう)や大学(だいがく)に進学(しんがく)できない子もいます。
政府(せいふ)はこういった子どもたちのために、ひとり親家庭などに児童扶養手当(じどうふようてあて)というお金(かね)を渡(わた)しています。企業(きぎょう)などからお金を集(あつ)めて、子どもたちを支援(しえん)するNPOなどに支給(しきゅう)する「子供(こども)の未来応援基金(みらいおうえんききん)」という取(と)り組(く)みも始(はじ)めました。でも、これで十分(じゅうぶん)ではありません。奨学金制度(しょうがくきんせいど)はありますが、多くは社会(しゃかい)に出(で)てから返済(へんさい)が必要(ひつよう)です。大人(おとな)になって返済に苦労(くろう)する若者(わかもの)が大勢(おおぜい)います。今(いま)、日本は豊かな人と生活の苦しい人の差(さ)が広(ひろ)がる「格差(かくさ)社会」が問題(もんだい)になっていますが、子どもの貧困は格差社会が広がる原因(げんいん)にもなっています。
子どもを支援する民間(みんかん)の活動(かつどう)は広がってきました。代表的(だいひょうてき)なのは、食事(しょくじ)を提供(ていきょう)する「こども食堂(しょくどう)」。学習(がくしゅう)の支援に熱心(ねっしん)に取り組むNPOもあります。
しかし政府の取り組みは、まだまだ不(ふ)十分です。この問題を解決(かいけつ)に向(む)かわせるには、子どもや若者の声(こえ)を届(とど)けることが大切(たいせつ)です。夏(なつ)の参院選(さんいんせん)は、投票(とうひょう)できる年齢(ねんれい)が20歳(さい)から高校生を含(ふく)む18歳に引(ひ)き下(さ)げられました。この機会(きかい)に、お兄(にい)さん、お姉(ねえ)さんも含めてみんなで話(はな)し合(あ)い、どうしたら子どもの貧困問題が解決に向かい、格差がなくなるのか考(かんが)えてみたらどうでしょうか。
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