(いま読む日本国憲法)(5) <第11条>永久に守られる人権 - 東京新聞(2016年5月5日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201605/CK2016050502000140.html
http://megalodon.jp/2016-0505-1003-02/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201605/CK2016050502000140.html


一〇条から四〇条までの第三章は「国民の権利及び義務」です。この中で権利はたくさん出てきますが、国民の義務とされているのは、子女に教育を受けさせる義務(二六条)、勤労の義務(二七条)、納税の義務(三〇条)の三つです。
ほかに憲法で義務という言葉が出てくるのは、公務員らの憲法尊重擁護義務(九九条)だけ。国家権力から国民を守るため、権利を手厚く認めようという憲法の理念が表れています。
さて、一一条は国民主権、平和主義とともに憲法の三原則とされる基本的人権の尊重を示す条文です。
「享有」は「生まれながらに持っている」という意味。つまり、基本的人権は国家や法律に先立って個人が本来的に持つ「自然権」であり、国家権力によって侵されることはないと宣言しているのです。
ちなみに「永久」という表現は、ほかには戦争放棄を定めた九条と、基本的人権の尊重を念押しした九七条で出てくるだけです。基本的人権は、それほど重視されているのです。
自民党改憲草案は基本的人権について、今の憲法と同じように「侵すことのできない永久の権利」と定めています。「現在及び将来の国民に与へられる」という表現は削りました。
同党は草案のQ&Aで「人権規定も、国の歴史、文化、伝統を踏まえたものであることも必要」などと説明しています。


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憲法の主な条文を解説し、随時掲載しています。


自民党改憲草案の関連表記
国民は、全ての基本的人権を享有する。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利である。