活断層と認定 志賀原発は動かせない - 東京新聞(2016年4月29日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016042902000187.html
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北陸電力志賀原発(石川県)の直下を走る断層が、地震を起こす恐れのある活断層と認定された。活断層が連動して動く怖さは、熊本地震で骨身に染みた。過去に学べば、志賀原発は動かせない。
熊本地震の激しい揺れで、目が覚めたということなのか。
志賀原発1号機直下の活断層が、ようやく認定された。
原発の真下を走る古い地層のずれ(S−1断層)は、いつかまた激しく動く、つまり地震を起こす恐れを秘めた活断層なのか、そうでないのか。
3・11後の原発新規制基準では、活断層の真上には、原子炉建屋など重要施設は設置できない。
二十九年前、北陸電は、S−1断層の試掘調査を実施した。
その図面をもとに、活断層の疑いを指摘したのは、かつての規制機関である経済産業省原子力安全・保安院だった。3・11後の二〇一二年七月、原子力規制委員会が発足する二カ月前のことである。その図面が決め手になった。
規制委の有識者会合は昨年七月、「活断層の可能性は否定できない」と結論づけていた。そしてようやくその評価が規制委に認定された。
志賀原発は約四年間、指摘のあった地震の危険にさらされていたことになる。
私たちは今まさに、熊本地震のさなかにいる。日本が地震国であること、地震活動の計り知れなさ、予測しがたさ、強大さなどをまざまざと見せつけられている。
「否定できない」以上はクロだ。危険がある。1号機は、速やかに廃炉にすべきである。2号機の原子炉建屋の直下に活断層はないものの、周辺機器に冷却水を送り込む配管の下を横切っている。
冷却がいかに大切か。私たちは福島の事故に思い知らされた。
防災は歴史に学べ。3・11以来の鉄則に照らしてみれば、2号機も動かすべきではない。
2号機は新しく、出力は一三五・八万キロワットと大型だ。電力自由化の競争時代、失いたくないという電力会社の台所事情も分かる。
だが、日本列島に活断層は二千カ所以上あるといわれ、未知の部分も多い。再稼働の適合審査に臨むにも、膨大な対策費用がかかるだろう。
原発依存はもはや経営リスク。これも大震災の教訓だ。
北陸電は、水力を含む再生可能エネルギーの比重が高い。率先してそちらへ舵(かじ)を切るのも、企業としての“防災”ではないか。