7年ぶりに憲法ミュージカル復活 今回は「ブラック企業」など題材:神奈川 - 東京新聞(2016年4月28日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201604/CK2016042802000187.html
http://megalodon.jp/2016-0428-0917-27/www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201604/CK2016042802000187.html

日本国憲法を題材にした市民ミュージカル「がんばれッ!日本国憲法〜わたしたちの憲法劇」(実行委主催)が二十八、二十九の両日、横浜市西区の県立青少年センターで上演される。一九八七年から毎年上演していたが、二〇〇九年を最後に休止していた。七年ぶりの舞台に、出演者らの気分も高まってきている。 (志村彰太)
「もっと威厳を持たせて」「気持ちを込めろ!」−。四月下旬、憲法前文を暗唱する冒頭のシーンの練習で、初回から構成・演出を手掛ける浜田重行さんらの指導に熱がこもる。劇は毎回内容を変えており、今回は「ブラック企業」「生活保護の給付削減」「安保法制」を題材に一つの物語を組み立てた。九条や、生存権を定めた二五条をテーマにしたという。
過去には、厚木基地の騒音問題(八八年)、国旗国歌法(〇〇年)、集団的自衛権(〇五年)などを題材にした。九五年から出演している実行委事務局長の藤原彩子さん(36)=同市戸塚区=は、「物語は基本的に、県内で起きた社会問題を基に構成する」と話す。
劇は憲法施行四十周年を記念し、弁護士らでつくる青年法律家協会神奈川支部が「祝うなら楽しい方がいい」と発案。最盛期には百人以上が出演し、千人以上の観客を集めていた。藤原さんも魅力に取りつかれた一人で、演劇部に所属していた中学時代に勉強の一環として観賞し、「迫力に圧倒された」。高校に入ってから毎年、出演するようになった。
ただ、当時は世間の憲法への関心は高まっておらず、「年々、出演者と観客が減っていった」。裏方で支える人らの高齢化もあり、〇九年の「派遣社員の解雇」をテーマにした上演を最後に休止していた。
一四年、初回から関わっていた音楽家黒田雄治さんの死去をしのぶため出演者が集まった際、「政府が憲法解釈を変えたり、危ない状況だ。劇を復活させて、多くの人に憲法のことを知ってもらいたい」と、話がまとまった。かつての仲間に加え、交流サイト(SNS)で出演者を募り、四歳から七十代までの五十人が集まった。
出演者は事前に、ブラック企業生活保護に関する最近の裁判や、安保法の問題点などを学習し、台本を読み込む。二月から、週三回集まって稽古に励んでいる。安保法を題材にした部分は、九一年に初披露した「弓嬢(きゅうじょう)物語」を再構成して演じる。弓嬢は「九条」を擬人化した姫で、権力者に囲われて産んだ三つ子「陸」「海」「空」をめぐる物語という。
当日は二十八日が午後七時から、二十九日が午後一時と同五時から上演する。当日券など詳細は、「がんばれッ!日本国憲法」のホームページで閲覧できる。藤原さんは「憲法がみんなの生活に根付いていると、劇を通じて感じてもらえれば」と話している。