「コの字」の机、向き合い10年 江戸川区立二之江中が本に:東京 - 東京新聞(2016年4月21日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201604/CK2016042102000169.html
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「コの字型」あるいは「島型」。江戸川区立二之江中学校(春江町)の生徒たちは、すべての授業をそんなふうに机を並べて受けている。みんなが前を向いて座る通常の教室と違い、教員やほかの生徒に話しかけやすいから、分からないことがあればすぐに相談できるのが利点だという。その十年間の取り組みが本になった。 (酒井翔平)
黒板の正面に開放されたスペースを設け、生徒たちは窓側、廊下側、教室の後ろの壁をそれぞれ背にして座る。教員も生徒も、教室にいるみんなの顔が見える。教員は歩きながら、一人一人に近づいて授業を進めることができる。
グループ学習の時間は机を並べ替えて、男女四人で「島」をつくる。一年生の英語では、音読をグループでする。級友と声を出し合うことで、擬音語と擬態語の違いなどの理解を深めるのに効果が上がっているという。
二之江中は二〇〇六年、全授業でこの取り組みを始めた。机が変われば学びの姿勢も変わるという、学習院大学教育学部佐藤学教授が提唱していたアイデアを導入した。それまで中学には、髪を染めるなど荒れた生徒がいた。解決には学習意欲の向上が欠かせないと考えた。内野雅晶校長は「教師の目が一人一人に行き届き、同級生に『分からないから教えて』と言える環境にした。生徒の誰もが勉強が分かる喜びを知った」と話す。
教育・参考書の出版社「明治図書」(北区滝野川)の書籍に二之江中の教員が取り組みを寄稿したら、興味を持った編集者から生徒のやる気を引き出す授業の実践例としてまとめることを依頼された。教員らが執筆した本のなかでは座席配置の特徴や、数学や国語、英語など十科目の授業実践を解説している。題名は「生徒全員の学びを保障する コの字型机配置+四人グループ学習」。百三十六ページで、一冊千九百円(税別)。明治図書の公式サイトで注文できる。