政治との距離縮めよう 若者の低投票率 学生発案で開講:千葉 - 東京新聞(2016年4月14日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201604/CK2016041402000192.html
http://megalodon.jp/2016-0414-0955-28/www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201604/CK2016041402000192.html

「政治に関心ある人は手を挙げて」。千葉大学千葉市稲毛区)で十三日から始まった講義「若者の政治参加を考える」。開始間もなく、法政経学部の関谷昇教授が、緊張した面持ちの一年生ら約三十人に問いかけると、半数ほどが手を挙げた。「では、選挙に関心ある人は」。上がった手は数人に減った。正直だ。
関谷教授は、過去の国政選挙で、二十代が他の世代より投票率が低いデータを紹介。若者の政治不信やあきらめなどを理由に挙げ「政治の話をすると、周りから敬遠されてしまう。無関心を装うという暗黙の空気、同調圧力もある」と説明すると、あちこちで学生がうなずいた。
関谷教授は、原発、福祉といった争点ごとに政策を選んでも、自分の意見とすべて重なる公約を掲げる政党を見つけにくいとも解説。一方、選挙で政治の担い手を選ぶ「代表制民主主義」は、投票率が低くても選ばれた政治家を国民の代表者とみなす制度で「多くの人が関心をもたないと、政治は一部の人に限定されてくる。それで本当にいいのだろうか」と問い掛けた。複数の学生が熱心にメモをとっていた。
投票以外の政治参加のあり方として、地域の課題の解決に住民が参加する「市民自治」の可能性にも触れた。「地元の商店街を盛り上げることでもいい。皆さんが参加できる場はたくさんある」と呼びかけた。
講義は、法政経学部四年の今井隆太さん(22)ら学生の提案で本年度から始まった。今夏の参院選から選挙権年齢が「十八歳以上」に引き下げられるのを前に今井さんらが昨年、学内でアンケートしたところ、投票意識が低い実態が明らかになったからだ。
出席した学生はどう受け止めたか。文学部一年の清藤遼さん(18)は「高校時代までは政治に興味があっても、他の人と共有する場がなかった。この授業で意見を交わすのが楽しみ」と期待した。法政経学部三年の鈴木万葉さん(21)は「若者の政治への無関心に興味があり、受講を決めた。政治にどうして関心が持てないか、どんな意見を持っているか語れる場は貴重だ」と語った。
同学部二年の田代智也さん(19)は「選挙権を十八歳以上に引き下げたのは、海外の国に合わせたようで日本らしい。今年の参院選で各政党が、若者にどういう売り込み方をするかに注目したい」と話した。
今井さんも出席し、「参加した学生たちから、選挙で若者への啓発などの仕組みを変えるアイデアや行動を起こしていきたい」と期待を込めた。
千葉大で、学生主体の若者の政治参加を考える取り組みが始まった。講義は週一回のペースで、グループワークを含めて六月まである。千葉大生とともに、若者と政治の距離を縮めるヒントを考えていく。 (中山岳、柚木まり)