(筆洗)「大学生は小説どころか、最近では、漫画さえ読まない」という - 東京新聞(2016年4月14日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016041402000138.html
http://megalodon.jp/2016-0414-0954-44/www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016041402000138.html

若者の活字離れの深刻さについては聞いてはいたが、友人の大学教授によると「大学生は小説どころか、最近では、漫画さえ読まない」という。「漫画を読んでいる学生を見かけるとほめたくなる」
裏付けるデータがある。二月に公表された大学生協の調査では、大学生の一日の読書時間は、平均二八・八分。読書時間ゼロという学生は四割を超える。
対照的にスマートフォンの一日の利用時間は約二時間と圧勝している。なるほど漫画であろうと本を手にしている学生を見れば、抱き締めたくもなろう。
同じ活字の新聞も同じ、あるいはそれ以上に深刻である。総務省の調査だが、二十代の新聞閲読時間(平日)は二・四分である。カップ麺の完成を待つほどの時間も若い方は新聞に分けてくれぬ。
「ところで皆さんは毎日、新聞を読みますか」。東大の入学式で五神(ごのかみ)学長はこう問い掛け、ネットで見出しを見るだけではなく、記事の本文をきちんと読むよう求めたそうである。ありがたい言葉だが、東大生にもこんな話をしなければならぬ時代である。
愚痴の代わりに笑い話を書く。若い男がスマートフォンをいじりながら嘆く。「いろいろな分野の記事が載っていて見出しや記事の大きさでニュースの価値が一目で分かって、しかも電池切れにも強い。そういうモノがあれば便利なのに」。別の男が教える。「新聞だよ」