G7外相 原爆資料館訪問 なぜ実現 - NHKニュース(2016年4月13日)

http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2016_0413.html
http://megalodon.jp/2016-0414-1040-23/www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2016_0413.html

難航したアメリカとの交渉
岸田大臣みずから、各国大使を、都内の広島料理店に招き、外相が資料館を訪問するよう直接、要請するなどしていく中で、見えてきた糸口がありました。
アメリカ側の懸念は、資料館訪問そのものではなく、館内の展示を視察しているケリー長官の表情や発言などがメディアにセンセーショナルに取り上げられ、アメリカの世論を刺激することだと分かったのです。
アメリカ側と資料館訪問で合意できたのは、外相会合の直前でした。
「メディアに、原爆資料館内の取材を許可しない」という条件が加えられたのです。

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実は、この「広島宣言」をまとめるにあたっても、各国との交渉は難航しました。
日本政府が議長国として最もこだわったのは、核兵器の非人道性を巡る表現です。
伝統的に核軍縮で保守的な立場を取るフランスを中心に、核保有国が最も警戒していたのも、この表現がどのように記述されるかでした。
日本政府は、従来から、核兵器の使用が、「非人道的な結末」=”humanitarian consequences”をもたらすことを国際会議などで主張してきました。
ただ、この”humanitarian”という単語は、現実的な核軍縮を求める日本と違って、核兵器の全面的な禁止を強く求める非核保有国も繰り返し使用していることから、「核抑止力による安全保障」を前提とする核保有国としては、とても受け入れることができない表現なのです。
交渉の結果、核保有国への配慮から、「非人道的な結末」という表現は盛り込まれませんでした。
代わりに盛り込まれたのが、”immense devastation and human suffering”。
直訳すると、「大きな破壊と人間の苦しみ」です。
外務省は、「極めて甚大な壊滅と非人間的な苦難」と意訳することで、「非人道的」という文言はなくても、趣旨は盛り込むことができたとしています。