虐待見聞きも6割「通告せず」 「判断できず」「トラブルが…」:東京 - 東京新聞(2016年4月12日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201604/CK2016041202000162.html
http://megalodon.jp/2016-0412-0919-04/www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201604/CK2016041202000162.html

児童虐待について都が都民に実施したアンケートで、実際に虐待や虐待の疑いを見聞きして通告したことがあるかを尋ねたところ、「見聞きしたが通告しなかった」人は62.2%にのぼった。都の担当者は「児童虐待防止法で通告者は守られる。勇気を持って通告してほしい」と呼び掛ける。 (北爪三記)
アンケートは、都の福祉保健モニターの登録者三百三十四人を対象に昨年十二月、インターネットで実施。二百三十七人から回答を得た。
「近所で児童虐待に気付いた場合、または虐待が疑われる場合に通告するか」との問いには、「必ずすると思う」(31・6%)、「すると思う」(53・2%)と、前向きな回答が八割を超えた。
しかし、「実際に見聞きして通告したことがあるか」を問うと、見聞きしたことがある人のうち、通告しなかった人(二十三人)が通告した人(十四人)を上回り、約六割だった。通告しなかった理由は「虐待かどうか判断できなかった」(52・2%)が最も多く、「近隣トラブルがこわい」(13・0%)、「ほかの人が通告すると思った」(4・3%)と続く。
子育てに悩んだことがあると答えた人(百三十四人)に、子どもを虐待しそうになったことがあるかを尋ねると、40・3%が「ある」と回答した。
虐待を防ぐため、行政などの支援で有効なものは、「親が短期間休息できるよう、子どもを一時的に預かるサービスの実施」(41・8%)や「親同士が交流できる場所や機会の提供」(40・5%)を選んだ人が多かった(複数回答)。
こうしたサービスは区市町村の子ども家庭支援センターや「子育てひろば」で実施されており、都は活用を呼び掛ける。都のホームページにも「子育て支援情報一覧」として情報を掲載している。
厚生労働省によると、全国の児童相談所が二〇一四年度に対応した児童虐待の件数は八万八千九百三十一件。集計を始めた一九九〇年度から二十四年連続で増加している。都内は七千八百十四件で、都は本年度、児童相談所十一カ所の職員を四十一人増やし、態勢を強化する。