広島で学んだ平和の大切さ 昨夏派遣の中学生文集が完成:栃木 - 東京新聞(2016年4月5日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/list/201604/CK2016040502000159.html
http://megalodon.jp/2016-0405-0938-22/www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/list/201604/CK2016040502000159.html

戦後七十年だった昨夏、平和について学ぶ親善大使として、広島市に派遣された宇都宮市立中学校の生徒たちの作文集が完成した。二〇〇〇年から毎年実施している事業で、一五年度も市内全ての市立中学校二十五校から二年生が一人ずつ参加。作文集には、平和とは何かを考え、歴史を伝えていく必要性を自分たちの言葉でつづった。 (後藤慎一)
「怒り、悲しみ、はかなさ…様々な感情が湧き出てきました。(中略)もう二度と同じ過ちをしてほしくないという願いが強くなりました」
曽祖父が広島で被爆したという女子生徒の一人は、小学四年で初めて広島平和記念資料館を訪れた時を振り返り、今回との心情の変化を丁寧に書いた。当時は「怖いよ。早く出ようよ」と言って施設を出たが「(今度は)曽祖父そして祖母が苦しんできたことを少しでもわかってあげたい」と思いを明かした。
資料館や原爆ドームを見学した感想のほか、広島へ行く前に立てた目標と、派遣を通じて学んだことをそれぞれ記入した欄もある。「戦争の恐ろしさを知ると、なおさら『平和』の意味が難しくなった」と、複雑な気持ちを記した生徒もいた。
昨年八月五日から三日間の派遣で、最終日には宿泊先のホテルで「平和とはどういうことか」をテーマに討論した。戦争を身近な問題として考えるため、世界の紛争を学び、被爆国である日本から平和の必要性をどう発信していくか、一人一人が考えた。
「武力を使わずに物事を解決すること」「差別をしないこと」といった意見のほか、「一人ひとりが戦争や核兵器の恐ろしさを多くの人に伝える」という考えが多かった。「学校で毎月折り鶴を作製する」という提案もあった。
派遣事業に取り組む市男女共同参画課の担当者は「平和への思いを、それぞれの学校で伝えてほしい」としている。
作文集はA4判、計百五ページ。市立図書館などで閲覧できる。