隔離法廷「違憲の疑い」…最高裁有識者委 - 毎日新聞(2016年4月1日)

http://mainichi.jp/articles/20160401/k00/00m/040/147000c
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ハンセン病患者の裁判が裁判所外の隔離施設などに設置された「特別法廷」で開かれていた問題で、最高裁有識者委員会が「特別法廷は、憲法が保障する法の下の平等や裁判の公開原則に反する疑いがある」との見解を大筋でまとめたことが分かった。正式に意見を集約し、近く最高裁に報告書を提出する。【山本将克、江刺正嘉】
法廷は裁判所で開かれるのが原則だが、災害で庁舎が損壊したような極めて例外的な場合に、裁判所法の規定に基づき最高裁が必要と認めれば特別法廷を設置できる。有識者委は、ハンセン病を理由とした特別法廷設置は差別的な措置で、裁判所法に違反していたとみている。「違法、違憲の疑い」という指摘を踏まえ、最高裁が最終的にどのような検証結果を示すか注目される。
ハンセン病患者の裁判は伝染の恐れを理由に一律に特別法廷で開く運用がなされていたとされる。
最高裁によると、1948〜72年までにハンセン病を理由とする地裁などからの上申は96件あり、うち95件(99%)が許可された。残る1件は撤回で、最高裁が却下した例はなかった。ハンセン病以外の病気や老衰を理由とする特別法廷の許可率は15%にとどまり、ハンセン病とそれ以外の病気で扱いに大きな開きがあった。
月内にも公表
有識者委は、隔離施設内で開かれる法廷は一般の人の立ち入りが困難だったことも踏まえ、裁判の公開原則が貫かれておらず、法の下の平等に反していた疑いがあるとの見方でほぼ一致したとみられる。ただ、最高裁の調査では、裁判所が特別法廷の開廷を掲示で知らせるよう療養所に促す記録や、傍聴人がいた裁判もあったことを伝える新聞記事などが見つかっている。最高裁有識者の意見も踏まえて、4月中にも検証結果をまとめ、公表する方針だ。