原発ゼロに現実味――規制基準の見直しが不可避 - 日経ビジネス(2016年3月30日)

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/225434/032400007/?n_cid=nbpnbo_twbn

3月9日、日本中のエネルギー関係者に衝撃が走った。関西電力の高浜原発福井県高浜町)3号機と4号機について、大津地方裁判所(山本善彦裁判長)が、運転の停止を命じる仮処分の決定を出したのだ。裁判所が稼働中の原発の運転停止を命じたのは初めてのこと。
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原発被害は自治体の境界線でストップするわけではない。具体的に言えば、福井県の北東部、石川県との県境にある北潟湖は、高浜から直線距離で100km程度ある。それに対して、滋賀県との境まではわずか30km、県庁所在地である大津市(及び京都市)まででも60kmしかないのだ。100km圏内には大阪、神戸も入ってくる。今回申立した住民は原発から約70km以内に住む人達だ。

このような状況は全国共通だ。愛媛県伊方原発3号機が夏までには動きそうだが、広島県から停止申請が出されている。四国電力伊方原発1〜3号機の運転差し止めを求め、広島・長崎の被爆者18人を含む9都府県の67人が2016年3月11日、広島地裁へ提訴した。原告の一部は、3号機の運転差し止めを求める仮処分も申し立てている。
広島市から伊方原発までは南に約100km。福島事故の後、伊方原発の運転差し止めを求める訴訟は松山地裁に続き2例目で仮処分の申し立ては初めて。高浜の例が繰り返されると、伊方3号機も一旦動いて即停止、ということになりかねない。