子ども200人に給付金 貧困 似た境遇の学生が募金活動 - 東京新聞(2016年3月28日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201603/CK2016032802000141.html
http://megalodon.jp/2016-0328-0919-00/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201603/CK2016032802000141.html

子どもの貧困対策が大きな政策課題となる中、昨年六月に設立された一般財団法人「あすのば」では、今春に新生活を始める子どもたちへの給付金の原資となる寄付が、当初の目標額を大幅に超えて集まった。活動の中心は貧困に悩んだ経験がある大学生らで、募金活動のほか、自分たちと似た境遇で育つ子どものための合宿も開いている。 (小林由比)
二十七日、千葉県君津市の県立君津亀山少年自然の家で、青空の下、子どもたちが野外炊事場で昼食のカレーライス作りを楽しんだ。困窮家庭で育つ小中学生を対象にした二泊三日の合宿。出来上がったカレーを学生スタッフと一緒に食べた子どもたちは、「おいしい」「おかわりある?」と笑顔を見せた。
「いつかつらいことがあった時、思い出してもらえるような楽しい時間にしたい」とスタッフの工藤鞠子さん(20)=東京都練馬区。自身も経済的に恵まれず、子どものころキャンプなどをした記憶はない。「みんながしている経験ができない背景に、経済的困窮があることを知ってほしい」
代表理事の小河光治(こうじ)さん(50)も「親が子どもに構ってあげる余裕がない家庭も多い。大人が自分を見てくれている、大切にされている、という気持ちを味わってほしい」と話す。
工藤さんら学生スタッフは昨年十一〜十二月、給付金を集めるための街頭募金を行った。目標を百五十万円以上も上回る七百五十六万円の寄付があり、今春に小中高校を卒業する子どもら二百人に支給する。
「子どもの貧困対策法」ができて、六月で三年になるが、政府の対策は不十分だ。あすのばは四月に公益財団法人に移行し、政策提言を続ける他、全国の支援団体向けの講習も開く。
小河さんは「学生たちが中心となる活動によって、大人たちの共感も広がってきている。物心両面で子どもを支える仕組みをつくっていきたい」と気持ちを新たにしている。