<元気人@かながわ>砂川事件元被告の父に代わり再審請求 坂田和子さん(59歳):神奈川 - 東京新聞(2016年3月21日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201603/CK2016032102000145.html
http://megalodon.jp/2016-0321-1028-54/www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201603/CK2016032102000145.html

ベテランの小学校教諭である。管理教育とは逆の道を歩んできた。「自分たちの問題を自分たちで解決できる、民主的な子どもたちを育てている」との自負を持つ。
例えば教室で、子どもたちが自分の趣味などをクイズで出し合う。一人一人の多面性を知ろうとする試みだ。互いの理解を深めて話し合う。そうした取り組みで、学級崩壊や授業不成立に陥ったクラスの立て直しを図ってきた。
■教育信念映画に
「教師が、決まりだからルールを守れとか言っていると、低学年で仕方なく従う子たちも、納得していないから高学年で反抗し、抑えが利かなくなる」
自らの教育信念は、実践記録にまとめて出版され、渡辺梓さん出演の映画「先生あした晴れるかな」の原作にもなった。
父親の坂田茂さんは一九五七年、旧米軍立川基地(東京都立川市)の拡張反対運動で基地内に入り、逮捕、起訴された。その父親の死を機に、教科書にも載っている「砂川事件」裁判のやり直しを求めることになった。
五九年三月、一審の東京地裁は、駐留米軍憲法違反の「戦力の保持」に当たるとし無罪。
すると検察は、高裁を経ず最高裁に判断を求める異例の「跳躍上告」。最高裁は同年十二月に一審判決を破棄し、差し戻し審で父親らは有罪に。
近年、その最高裁長官が判決前、駐日米大使らに裁判の進行の見通しなどを報告したことが米解禁文書の調査で明らかになった。
日本鋼管の労組役員だった父親は有罪を受けて解雇され、十数年裁判闘争を続けた。「裁判所に家族がほんろうされた」と苦々しく思っていたが、三年前に父親が亡くなった。
■国のあり方危惧
「教育こそ私の現場」と思い、砂川事件は、父の仕事だとして距離を置いてきたが、それを引き継ぐ形となった。
砂川事件集団的自衛権行使容認の根拠とする安倍晋三政権や、東日本大震災から五年が過ぎた今、原発再稼働へ突き進むこの国の姿は、子どもたちの未来を危うくすると感じる。
そうした時代にあって「再審請求は、未来に向けて理や意味があると思う」と力強く語る。 (山本哲正)
私の履歴書
1956年 川崎市で生まれる
 57年 砂川事件
  80年 早稲田大学教育学部を卒業
  82年 川崎市で小学校教諭に
  90年 教育実践記録の単行本「せんせい、あした晴れるかな−5年5組ものがたり」出版(後に絶版)
  94年 同書を原作とした映画「先生あした晴れるかな」公開
2013年 父親の茂さん死去
  14年 砂川事件の再審請求の請求者に