(筆洗)安倍首相は消費税率上げの再延期を検討しているそうだ - 東京新聞(2016年3月20日)


http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016032002000115.html
http://megalodon.jp/2016-0320-1021-30/www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016032002000115.html

ある首相が部下から書類を示される。「この報告からも状況はお分かりかと」。首相は「こんなもの、四歳児だって分かるさ」。首相、秘書にそっと告げる。「四歳児を一人連れて来い。わしにはさっぱり分からん」。幸い、実在する首相ではない。マルクス兄弟による喜劇映画「我輩はカモである」(一九三三年)の一場面。
およそ政治家の資格などないデタラメな男が一国の宰相に任命される。国の混乱とそれによる笑い。男装した女性が登場するシェークスピアの喜劇「十二夜」もそうだが、なりすましや「無資格者」は喜劇や笑いの種になりやすいのだろう。
テレビのコメンテーターとして活躍していた人の学歴詐称疑惑である。この話も実は喜劇かもしれぬ。マルクス兄弟並みの社会批評も含む。
二枚目。魅惑の低音声。そこに「ハーバード」「MBA」。横文字最強の「呪文」が加われば、われわれは幻惑され信用する傾向がどうも否定できぬ。それを裏付ける出来事だった。
こっちは実在する首相の話。安倍首相は消費税率上げの再延期を検討しているそうだ。ノーベル賞受賞のコロンビア大の教授が最近、増税に反対したのも財政規律派の慎重論を封じる上で首相には好都合だそうだ。世論もなるほどというだろう。
ノーベル賞、コロンビア大ねえ。例の人と首相の名を借りて「ショーヒA」作戦と呼んでもいいか。