障害者との対話通じ個々に対応を 「差別解消法」施行を来月に控え討論会 - 東京新聞(2016年3月13日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201603/CK2016031302000129.html
http://megalodon.jp/2016-0313-1018-14/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201603/CK2016031302000129.html

障害者への差別をなくすための「障害者差別解消法」が四月に施行されるのを前に、日本司法書士会連合会主催の公開討論会が十二日、東京都内で開かれ、参加者から「障害者との対話を通じ、個々人の事情に配慮した対応を考えることが大切だ」などの意見が出た。
討論会には、市民ら約八十人が参加。自らも車椅子を利用し、内閣府で障害者制度改革を担当する尾上浩二政策企画調査官は「私はホテルでシャワーを浴びるのに椅子が必要。備品にない、とよく断られるが、古いパイプ椅子を貸してくれるのでもいい。何ができるかを前向きに考え、工夫してほしい」と呼び掛けた。
千葉市視覚障害者協会の高梨憲司副理事長は、視覚障害者に対する航空会社のマニュアル対応で、同伴者がいて支援が必要ないのに旅客機から降りる順番を最後にされたエピソードを紹介。「配慮したつもりが、差別したようになることもある。健常者と障害者の対話が重要だ」と強調した。
障害者の権利擁護に詳しい国学院大学法科大学院佐藤彰一教授は「障害者の権利を認めるだけでなく、自分と同じ人間として尊重できるかが問われる」と述べた。
同法は十三年六月に成立したが、周知に時間をかけるため施行は十六年四月となった。認知度は今も低く、差別があった際の救済機関や紛争解決方法の定めがないなど問題点も指摘されている。