個人の生活実態で判断を 日弁連シンポ、国の被災者支援改善求める:茨城 - 東京新聞(2016年3月12日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201603/CK2016031202000149.html
http://megalodon.jp/2016-0312-1056-48/www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201603/CK2016031202000149.html

東日本大震災の教訓を踏まえ、国の被災者生活再建支援制度の抜本的改善を求める日本弁護士連合会のシンポジウムが十日夜、弁護士ら約八十人が参加し、東京都千代田区弁護士会館であった。昨年九月の関東・東北水害で常総市の自宅が損壊、今も修繕していない家で生活する「在宅被災者」の晝間(ひるま)きよ子さん(68)が被災生活の実情を訴えた。
晝間さんは昨年九月十日、濁流に流され、水の中に七時間いた。「気持ちが立ち直らない。猛進するのが好きだったが、今は一人が好き」と現在の心境を吐露した。自宅隣で営んでいた居酒屋も浸水し、カビが生えたまま。昨年十二月に避難所を出てからは自宅二階で猫たちと暮らしている。
十四年前、つくば市から常総市に引っ越した際、住民票を移さなかった。居住実態が認められ、県の義援金は受け取ったが、市は「住民票がなければ市民でない」と義援金の配分を拒んだ。
宮城県内で在宅被災者を支援する一般社団法人「チーム王冠」の伊藤健哉代表理事は、震災から五年がたつ今も自宅が修繕できず、雨漏りし、床が腐った家に住み、経済的に困窮している人たちの存在を報告した。
仙台弁護士会の宇都彰浩弁護士は、現行の生活再建支援制度が、あくまでも住宅の被害を基準にしていることを問題視。「高齢者や独居者は一部損壊でも自力で再建できない」と指摘、収入や経済力なども考慮し、一人一人の生活実態で判断するよう改善を主張した。 (増井のぞみ)