大阪市の教科書アンケートをめぐる新たな疑惑――「育鵬社7割肯定」は動員か - 週刊金曜日編集部(2016年3月8日)

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右寄りの育鵬社歴史・公民教科書を採択した大阪市で、教科書展示会の市民アンケートに関する重大な疑惑が新たに発覚した。

昨年の大阪市教委の採択会議は異例の展開で始まった。市教委は、歴史・公民採択の冒頭で、市民アンケートの結果として育鵬社に肯定意見が約7割(779件)、否定意見が約3割(374件)と報告し、圧倒的に育鵬社支持が多かったと印象付けた。特定教科書の賛否数(割合)だけを報告するのは初めてのことだ。

情報公開された市民アンケートの集約では、保護者、大阪市内在住者の結果は育鵬社の賛否に有意な差が見られなかった。全体の4割を占める大阪市外在住者の約85%が育鵬社肯定意見であり、これが決定的な影響を与えていたのだ。一人で4枚以上提出していると思われる事例が28件以上あり、最大で24枚提出していた。それらの記載内容はほぼ同じ文面で、市内各地の展示会場に提出されていたのだ。

育鵬社を肯定した意見の多くは、岸和田市に本社のあるフジ住宅(今井光郎会長は日本教育再生機構の設立発起人)による組織動員と推測される。今井会長は育鵬社教科書事業部の情報として、大阪市は「数多くの教科書アンケートを記入していただければ、育鵬社に採択される可能性が高くなる」と社員に呼びかけた。勤務時間中に社用車を乗り合わせて展示会場を回ることを奨励し、未記入のアンケート用紙を大阪市内33の展示場のうち32カ所から持ち帰らせた。持ち帰り総数は最低1232枚。教科書展示会に行けない社員がアンケートを記入し、代理人が投函する行為も行なわれていたのだ。

市民アンケートの結果は、大阪市教委と育鵬社日本教育再生機構、フジ住宅によって偽造された疑いが濃い。

(伊賀正浩・子どもたちに渡すな!あぶない教科書大阪の会、2月26日号)