広島・中3自殺 誤った指導で自殺相次ぐ - 毎日新聞(2016年3月8日)

http://mainichi.jp/articles/20160309/k00/00m/040/135000c

広島県府中町で中学3年の男子生徒が自殺した問題で、専門家らは学校の誤った指導が生徒を死に追いやるケースが相次いでいると指摘する。
「指導死」親の会(東京都)の代表世話人で、教師の誤った指導で次男が自殺した大貫隆志さん(59)によると、「指導死」とは、教員らによる不適切な言動や暴力行為といったパワーハラスメントで子どもが死に追い詰められることを指す。だが、生徒指導で子どもが自殺に至るほど心に深い傷を負うことはあまり知られていないという。
教育評論家の武田さち子さんがまとめた統計によると、教員の指導が原因で児童生徒が自殺したとみられる事案(未遂も含む)は1989年以降61件で、うち間違った事実に基づいて生徒を責めるなどした「えん罪型」も10件ある。
札幌市内の道立高校では昨年10月、3年生の男子生徒が同級生の携帯電話を盗んだとの疑いをかけられ、教諭に事情を聴かれるうちに失踪して遺体で見つかった。生徒は「盗んでいない」と同級生にメールをしていたという。
2009年には、福岡市内の中学1年の男子生徒が、同級生の上履きを隠したとして担任から1時間以上問い詰められるなどし、悩んで自殺した。母親には「否定したのに何を言っても信じてもらえない」と話していたという。
大貫さんは「言い分を聞いてもらえず、人格を否定されたり、長時間責められたりするケースが多い。今回は『えん罪型』にあてはまる」といい、府中町教委が設置する第三者委員会には「情報管理のあり方だけでなく、進路指導で教師が具体的にどのような対応を取ったか明らかにしてほしい」と求めている。【高橋咲子】