<元気人@かながわ>横浜市立都岡中(旭区)教諭で詩人 醍醐千里さん(53歳):神奈川 - 東京新聞(2016年3月7日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201603/CK2016030702000189.html
http://megalodon.jp/2016-0307-1000-05/www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201603/CK2016030702000189.html

現役中学教諭にして詩人。詩集の出版や朗読会の開催のほか、地域FM局のエフエム戸塚ではレギュラーコーナーを持つ。フリーペーパーでエッセーの連載もしている。子どもや親たち、若い教員らにメッセージを発し続けている。
教員生活三十年。教師として二人の子の親として、悩みながら試行錯誤を繰り返してきた。「だれの心も美しく澄んでいる」という真っすぐな言葉を、正面から投げかける。
■営業職から転身
元は証券会社の営業職だった。大学を卒業して一年半ほど勤めたが、教師の夢が捨てられずに転身した。当初は授業も行事も「失敗続き」。授業を終えるとトイレで一人で泣いた日々があったという。
「自信を持って」「成功失敗の数じゃない」−。教員だった両親の言葉を支えに、すべてに全力投球してきた。教え子たちに伝える言葉を常に考えた。あるとき、卒業間際の三年生に贈った詩をまとめてインターネットのブログに載せた。
「魂は磨けば磨くほど光ります」。ふとしたことが心を明るくしたり、曇らせたりすることを詠んだ。澄んだ心を大切にしてほしい、との願いを込めた詩は反響を呼び、二〇一二年に詩絵本「魂の約束」(サンマーク出版)を刊行した。
経済格差による子どもの貧困の増加、スマートフォンなどの情報通信機器の浸透によるトラブル…。学校や教員にとって新たな課題が次々に突きつけられる。それでも「子どもたちは全然変わっていない。やさしく素直で一生懸命」と迷わず語る。いつの時代も子どもは子ども。本質への信頼を持ち続けている。
■母親たちを応援
いま、自身の子ども二人は独立し、二歳の孫がいる。シングルマザーで育ててきた経験もあって、「お母さん」たちに向けた朗読会も開いている。「子育ては大変。でもきついことがあっても大丈夫だよと、寄り添えるような活動をしたい」との思いを込めている。
「おかあさん」という詩がある。「『疲れているときは休んでいいのよ』って おかあさんに言ってくれる人は少ない」と始まり、こう結ぶ。「休んでいいのよ ゆっくりしていいのよのんびりしていいのよ  お日さまの光あふれるこの場所で 今日はゆっくりお昼寝しましょう」 (原昌志)
私の履歴書
1963年 横浜市戸塚区生まれ。小学生のころから詩を書く。
  85年 大学卒業、証券会社入社。
  87年 横浜市立中の国語教諭に。以来、保土ケ谷区泉区、旭区の中学で勤務。
2012年 詩絵本「魂の約束」を出版。
  15年 エフエム戸塚でコーナーを持つ。県内外で朗読会など開催。
  16年 詩絵本「魂の約束」新装版出版予定(しちだ・教育研究所)。