国と沖縄 仕切り直し 辺野古工事中断 再協議 - 東京新聞(2016年3月5日)


http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201603/CK2016030502000123.html
http://megalodon.jp/2016-0306-1155-51/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201603/CK2016030502000123.html

◆近づく参院選 民意に迫られ
<解説> 米軍普天間飛行場の移設をめぐる国と沖縄県による異例の「訴訟合戦」は、安倍政権が民意に押され、政権内で想定されていなかった譲歩を迫られる結果に至った。
防衛省幹部は和解について「一日も早い工事完成と言ってきたが、少なくともその方向ではない。全く予想していなかった」と不満を漏らした。和解案の受け入れは、官邸による政治判断といえる。
新基地建設については、二〇一四年十一月の沖縄県知事選で、辺野古埋め立てを承認した前知事を破り、翁長雄志知事が当選。同十二月の衆院選では沖縄の全四小選挙区で、新基地建設の反対を訴えた候補が与党を破った。沖縄の民意が新基地建設に反対していることが鮮明になった。
普天間飛行場を抱える宜野湾市で今年一月に行われた市長選では、新基地反対を訴えた候補が敗れたことで、政権内には沖縄の民意が変わりつつあるとの見方もある。だが、当選した現職は新基地建設問題を争点化しておらず、その見方は必ずしも妥当ではない。
和解案に対しては、沖縄側が受け入れを早々に表明した一方、政府は工事中止が盛り込まれていることを理由に受け入れに消極的だった。それでも最終的に和解に応じたのは、沖縄の民意に変化の兆しがないまま夏の参院選に臨めば悪影響が及ぶと懸念。対立を一時棚上げするのが得策との判断もあったとみられる。
首相はこの日「県との協議」を再び強調した。だが「辺野古が唯一の選択肢」という政権の基本方針まで変えたわけではない。 (関口克己)