米大統領選序盤戦 「反主流派」が異例の躍進 格差、貧困への怒りが背景 - 東京新聞(2016年3月1日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201603/CK2016030102000139.html
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【ワシントン=石川智規】二〇一六年米大統領選は当初、「ブッシュ対クリントンの戦い」と言われた。ところが二月に入り指名候補選びが本格化すると構図は一変。共和党の不動産王ドナルド・トランプ氏(69)と、民主党バーニー・サンダース上院議員(74)という二人の「反主流派」が、格差や貧困に憤る米国民と共鳴し主要候補を揺さぶっている。異例の展開をたどる序盤戦を振り返った。
アメリカを再び偉大な国に」。得意のフレーズに支持者らが大歓声で応える。トランプ氏演説会でお決まりの風景だ。
掲げる政策は、シリア難民の本国送還やイスラム教徒の入国禁止など極端なものが多い。円安でコマツの建設機械が売れ、米国民の職を奪うと日本を敵視する。対立候補への悪態も多い。強烈な主張はしかし、変革を期待する国民の心をつかんだようだ。時折、イラク戦争批判などリベラルな主張を織り交ぜる点も支持を広げる源泉となる。
共和党は当初、十人以上の立候補者が乱立した。だが、二月に入りトランプ氏優位の風が強まると、ジェブ・ブッシュ州知事(63)ら撤退者が相次いだ。現在も選挙戦を展開するテッド・クルーズ(45)、マルコ・ルビオ(44)の両上院議員は、スーパーチューズデーの結果次第で厳しい立場に追い込まれる。
民主党は、ヒラリー・クリントン国務長官(68)とサンダース氏の一騎打ちの構図だ。
米テレビ局の世論調査では、昨年三月のクリントン氏の支持率が61%で指名が確実視された。しかし国務長官時代に公務で私用メールアドレスを使った問題などで支持が続落。今年二月中旬の全国調査では、クリントン氏44%に対し、サンダース氏47%となった。
サンダース氏は、既存の政治家や富裕層が牛耳る現状を指摘し「もうたくさんだ」と繰り返す。また「クリントン氏はウォールストリート(金融街)から献金を受けている」と批判し、経済格差に不満を抱く若者を中心に支持を広げた。
しかし、指名候補選びの舞台が南部州に移ると黒人層から根強い人気を誇る夫のビル氏やオバマ大統領とのつながりをアピールするクリントン氏が勢いを取り戻してきた。
これまでの四戦中、クリントン氏は三勝一敗。サンダース氏にとって、三月は正念場となる。