福島第一原発 凍土壁、海側だけ先行 「全周、汚染水漏れも」 - 東京新聞(2016年2月15日)


http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201602/CK2016021502000055.html
http://megalodon.jp/2016-0216-1056-51/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201602/CK2016021502000055.html


東京電力は十五日、福島第一原発の建屋に流れ込む地下水を減らすため1〜4号機を囲む形で建設した凍土遮水壁について、全周を囲うと建屋の高濃度汚染水の方が地下水位より高くなり、漏れる可能性が残るとして、当面は海側だけを凍結させ、状況を見極めながら残る山側の凍結も目指す方針を明らかにした。同日午前の原子力規制委員会の会合で示した。
新たな方針だと、全て計画通りに進んだとしても、全体が凍って壁になるまで八カ月かかる見通し。東電は二〇一五年度内に凍結を完了させる目標を示していたが、不可能になった。
凍土壁は、地中の配管に凍結液を流し、凍った土の壁で地下水をブロックする狙い。国費三百二十億円以上が投じられた。
いつでも全体を凍結できる状態だが、規制委は不用意に地下水位を下げ、高濃度汚染水が漏れるリスクを懸念。東電に、確実に水位をコントロールできることを求めていた。
 会合で、東電側は地下水と汚染水の水位は六十九個の水位計で監視し、地下水位の方が低くなりそうな場合は、地中に水を注入したり、建屋の汚染水を素早く抜いたりする備えもしていると強調した。
まず海側の建屋周囲六百九十メートルと山側の一部五十二メートルを凍結させて三カ月程度をかけて状況を確認。問題がなければ山側の残り八百十六メートルについても、二段階で凍結させていく方針を示した。
規制委は海側の凍結については納得したものの、全体の凍結に対しては慎重な姿勢を崩さなかった。三月早々にも、東電に正式な実施計画を出させて審査し、凍土遮水壁をどう運用するか決める。