甘利氏 自らの疑惑…本会議後に会見へ その日詳報掲載 - 毎日新聞(2016年1月28日)

http://mainichi.jp/articles/20160128/k00/00m/010/158000c

甘利明経済再生担当相は28日、記者会見し、千葉県の建設会社から口利きを依頼され、見返りに現金を受け取ったとする週刊文春の報道について事実関係を説明する。複数の政府・与党幹部によると、甘利氏は自身と会社側との金銭的なやりとりについて一切の違法性を否定する方針。一方、安倍晋三首相は甘利氏の説明に先立ち、27日の参院本会議の代表質問で甘利氏を続投させる意向を表明した。
甘利氏は28日、参院本会議後の夕方に会見する見通し。自らの疑惑についてのみ説明し、秘書らが絡む問題に関しては第三者を入れた調査に委ねる考えだ。
週刊文春は、甘利氏が2013年11月に大臣室で、14年2月に神奈川県大和市の地元事務所で、それぞれ現金50万円を建設会社側から受け取ったと報じた。自民党幹部は、疑惑について「自分でポケットに現金を入れたというような事実はない」と述べ、甘利氏が会見で違法な現金受領を否定するとの見通しを示した。官邸関係者は「秘書に関しては別だが、甘利氏に関する部分についてはきちんと説明できる」と強調した。
甘利氏は27日の衆院本会議の代表質問で「週刊誌報道の内容には私の記憶と違う部分がある。国民に疑惑を持たれないようしっかり説明責任を果たす」と訴えた。また、首相はこれに先立つ参院本会議で「経済再生、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)をはじめとする重要な職務に引き続きまい進してもらいたい」と述べ、甘利氏を続投させる意向を示した。
一方、衆院予算委員会の審議日程を巡って与野党の理事が断続的に協議し、29日に16年度予算案の提案理由説明を行うことで合意した。与党側は29日からの実質審議入りを目指していたが、甘利氏が速やかに説明しなかったことに野党側が反発。実質審議入りは2月1日となる見通しだ。
また、衆院議院運営委員会の理事会では、萩生田光一官房副長官が、2月3〜4日に予定されるTPPの閣僚会合と署名式が行われるニュージーランドに甘利氏を派遣することへの同意を求めた。民主、維新、共産の各党は「説明責任を果たしていない」などと反対したが、政府は野党の同意が得られなくても甘利氏を派遣する方針。【野原大輔、水脇友輔】

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週刊文春が報じた甘利明経済再生担当相の一連の疑惑を巡り、千葉県白井市の建設会社の総務担当者が甘利氏本人に現金を渡す際の詳しいやり取りを28日発売の同誌が報じることが分かった。甘利氏が28日の記者会見で、報じられてきた疑惑についてどう説明するのか注目される。
同誌によると総務担当者は2014年2月に神奈川県大和市の事務所で甘利氏と面会し、封筒に入れた現金50万円を差し出した。これを受け取った甘利氏は「パーティー券にして」と述べたが、総務担当者が「いや、個人的なお金です」と言うと、封筒を内ポケットにしまった。その後、横浜市内で開かれた甘利氏を囲むパーティーで、総務担当者は甘利氏に「うまくいっていますか」と声をかけられたという。
一方、総務担当者が13年8月、大和市の事務所で所長(公設秘書)に現金を渡した際、最初は1000万円を用意したが、半分の500万円については事務所長から「別の機会に」と返されたという。
所長が受け取ったとされる500万円のうち300万円については、甘利氏関係団体の政治資金収支報告書に記載されていない。甘利氏側の関係者は周囲に「300万円は返した」と説明しているが、総務担当者は28日発売の同誌で「返してもらっていない」と反論している。【樋岡徹也】