施設の子に「生活の記録を」 練馬で研究会:東京 - 東京新聞(2016年1月18日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201601/CK2016011802000147.html
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記録の保存や活用を考える催し「生活と家族の記録を考える」が、練馬区江古田のギャラリー古藤で開かれた。学習院大大学院博士課程の阿久津美紀さんは、子どもの記録について児童養護施設などでは保存期間が限られている現状を報告し、「知りたくなったときにいつでも自分の記録にアクセスできる環境づくりが大切」などと述べた。 (石原真樹)
情報記録媒体の保管や管理のマネジメント企業で働く同区の渡辺健さん(46)が、記録管理をテーマに二〇一四年から開いてきた研究会の三回目。研究者や区民ら約二十人が参加した。
阿久津さんは、多くの児童養護施設で、保護者の氏名や相談内容などを記録した児童記録票などに「当該児童が二十五歳になるまで」「三十年間」など保存年限が設けられていると報告した。入所していた子どもが施設を出て結婚や出産を機に自身のルーツを知りたいと問い合わせても、保存期間を過ぎているために記録を得られない現状があると指摘。「施設の記録は子どもにとって自身を知るための数少ない手掛かり。年限を延ばす必要がある」と提案した。
児童自立支援施設の国立武蔵野学院さいたま市)で児童自立支援専門員として働く徳永祥子さんは「記録は(施設職員でなく)当事者のために使われて初めて生きた記録になる」とコメントした。
参加した練馬区の佐藤千津子さん(75)は「一般的な家庭の子が持っている記録がないことで、施設の子どもが苦労していると知りびっくりした」と話した。
このほか、家庭での写真やビデオの保存法の紹介や、劇団「兔団」の朗読劇もあった。
次回の日程は未定。問い合わせは渡辺さんのメール=tsuyoshi0517watanabe@jcom.home.ne.jp=へ。