独で70年禁書「わが闘争」再版 著作権失効 批判的な注釈付き - 東京新聞(2016年1月9日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201601/CK2016010902000118.html
http://megalodon.jp/2016-0109-1242-45/www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201601/CK2016010902000118.html

【ベルリン=垣見洋樹】ナチス・ドイツの独裁者ヒトラー反ユダヤ主義の政治信条を表し、事実上の禁書とされてきた著書「わが闘争」が八日、再出版された。出版元の「現代史研究所」(バイエルン州ミュンヘン)が批判的注釈を付けている。再出版は検討されながらも長年、ホロコーストユダヤ人大量虐殺)の犠牲者への配慮や極右勢力に与える影響への懸念から見送られてきた。
「わが闘争」は一九二五〜二六年に上下巻が刊行され、四五年までに世界で計千二百万部発売された。ゲルマン人至上主義と反ユダヤ主義を掲げ、後のナチスによるユダヤ人虐殺を予示したとされる。四五年に自殺したヒトラーが居住したバイエルン州著作権を持っていたが、著者の死後七十年の昨年に消滅した。
ドイツ教員組合のクラウス委員長はドイツ公共放送ドイチェ・ウェレで「イデオロギーが大量殺りくを導く過程を教えてくれる」と高校の授業での使用を訴えた。
一方、ホロコースト生存者でミュンヘンユダヤ人団体代表クノボロホさんは本紙の取材に「ドイツにおけるユダヤ人の歴史を正当に教えることなしに、再版本を自由に販売すべきでない」と反対している。
ドイツでは解説なしで再版本を出版すると、民族憎悪をあおるとして民衆扇動罪で最長禁錮五年刑を科される。このため原作は計約七百八十ページだが、注釈付き再版本は約二千ページで、五十九ユーロ(約七千六百円)。

Hitler, Mein Kampf - Eine kritische Edition

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