つらい軍隊での体験告白 平和の尊さを児童に伝える:栃木 - 東京新聞(2015年12月9日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/list/201512/CK2015120902000178.html
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矢板市扇町の元教師、鈴木幸市(こういち)さん(88)が八日、市立西小学校で行われた「戦争講話」の授業で講師を務め、自らの戦争体験を語った。十代で陸軍飛行学校を志願したが、厳しい戦時下でつらかった日々を告白。「戦争をどう思っているか」。児童たちにそう問いかけ、戦争の理不尽さと平和の尊さを訴えた。 (後藤慎一)
六年生十人を前に、鈴木さんは思春期の経験から語り始めた。戦時体制だった十七歳のころ、鹿児島県の陸軍飛行学校に入った。友人が、上官から理不尽な制裁を受けるのを見て「こんなところに来るんじゃなかった」と、涙をこらえた思い出を振り返った。
多くの人が戦地に向かう前に所属した兵庫県の訓練場に、母親が面会に来たことがあった。この先、自分はどの戦地に向かうのか、たとえ親でも口にはできなかった。つらかった当時の胸の内も明かした。
鈴木さんは結局、戦地に行くことはなかった。日本が終戦までにたどった道のりを解説し、真剣な表情で戦争の恐ろしさを児童たちに説いた。「戦争というのは人を殺す。今なら罰せられるのに、人を殺すほど出世する。こんな話はない。それをよく考えて」
戦後七十年となり、平和の尊さをかみしめている。「日本の国は七十年間、平和な国だけど、私は本当にすばらしい国だと思う」と強調した。 
この授業は、戦争を知らない子たちが戦争体験者の話を聞く市教育委員会の事業で初めて企画された。西村桃花(ももか)さん(12)は「戦争はとても怖いものだと思った」と話し、和気優真(ゆうま)君(12)は「悲しいことや怖いことが多くて、(戦争を)してはだめだということが分かった」と心打たれた様子で感想を語った。