(島人の目)真珠湾攻撃雑感 - 琉球新報(2015年12月7日)

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三十数年前、米国で迎えた初冬。日本人宅でのパーティーで「12月は日本人にとって気を付けるべき月」だと言われ緊張したのを覚えている。12月7日になると「リメンバー、パールハーバー」の合言葉がテレビで流され、米国人にとって日本軍の卑劣な行いを思い出させる日になり、現に石を投げられた日本人がいたと聞かされた。
米国は日本軍の真珠湾奇襲攻撃で、多くの艦船と航空機を破壊され、死者約2400人、負傷者1200人近い犠牲者を出した。怒ったルーズベルト大統領は報復すべしと日本へ宣戦布告した。戦後40年たってもそれを忘れない米国人の恨みを痛感し、当時周りの在米日本人たちは真珠湾攻撃は、不名誉なことだったと肝に銘じていた。
月日が流れ、「宣戦布告なしのだまし討ち」と言われた真珠湾奇襲攻撃の史実が覆される真相の文献や書物が数々出版された。
映画評論家のジョージ・モーゲンスターンは真珠湾の真相を追究しようと調査し、1947年に「真珠湾―日米開戦の真相とルーズベルトの責任」でルーズベルトの陰謀を明らかにしたが、日本語翻訳版が出たのは50年以上たってからだった。
ルーズベルトの娘婿カーチス・B・ドール大佐は著書「操られたルーズベルト」で米国が日本を戦争に巻き込んだと暴露。歴史家チャールズ・ビアードは「ルーズベルトの責任」で戦争責任はルーズベルトにあると喝破。共和党の重鎮ハミルトン・フィッシュは、対日最後通告(ハル・ノート)の存在を国民に隠したことを反省し「ルーズベルトの開戦責任」をまとめた。ピュリツァー賞作家のジョン・トーランドは、大統領が事前に日本軍の攻撃を知っていたとする「真珠湾攻撃」を出版した。
退役軍人のロバート・スティネットは「真珠湾の真実―ルーズベルト欺瞞(ぎまん)の日々」で、機密解除された20万件の政府や軍の文書等を調査。「真実を50年も隠し続け、アメリカの歴史を見る世界の目を大きくゆがめてしまった」と述べている。
息子らが使っていた教科書には真珠湾攻撃に関して「米政府は日本極秘の暗号を傍受し、解読していた」と明記されている。戦争を欲した米国に日本はうまく利用され、アメリカの手の中で泳がされてきた。今も上から目線のアメリカに追随している。安倍政権が対等の立場でなくアメリカの手中にあるように見えて仕方ない。
(鈴木多美子、バージニア通信員)