(筆洗)アニメならば「トムとジェリー」、 - 東京新聞(2015年12月4日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2015120402000134.html
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アニメならば「トムとジェリー」、歌手なら「サイモン&ガーファンクル」、科学ならDNAの二重らせん構造を発見した「クリックとワトソン」と世に名コンビは数々いるが、いま政治の世界で注目されるのは、「コービンとサンダース」だろう。
コービン氏(66)は英労働党の党首。左派の異端児ながら党首選で予想外の圧勝劇を演じ「影の首相」になった。筋金入りの反戦主義者らしく英軍のシリア空爆に反対し、所属議員はともかく、一般党員からは圧倒的に支持された。
一方のサンダース氏(74)は、米大統領選に出馬した上院議員。「民主社会主義者」を名乗る米政界の異端児で、民主党の指名争いで本命クリントン氏を相手に、これまた予想外の躍進をみせている。
二人はともに、一部の富裕層が富を独占する不平等に異を唱え、税制改革や公立大学の無償化などによる格差是正を掲げる。理想を愚直なまでに訴える姿が、既成の政党政治に強い不満を持つ若者らの共感を呼んでいるのだ。
英米といえば、一九八〇年代に「レーガンサッチャー」コンビが「金持ちを豊かにすれば、貧乏人も潤う」と新自由主義に突き進んだ国々。その大西洋の両岸の国を舞台に、まるで同時進行の物語の主人公のように脚光を浴びる異端児コンビ「コービンとサンダース」
それは、新しい政治のありようを示す物語になるのだろうか。