最高裁、3回連続「違憲状態」 衆院選 一票の不平等「縮小必要」- 東京新聞(2015年11月26日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201511/CK2015112602000139.html
http://megalodon.jp/2015-1126-1005-09/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201511/CK2015112602000139.html

一票の格差」が最大二・一三倍だった昨年十二月の衆院選有権者の一票の価値が不平等で違憲だとして、二つの弁護士グループが選挙無効(やり直し)を求めた計十七件の訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎(いつろう)長官)は二十五日、「違憲状態」との判断を示した。選挙無効の請求は退けた。最高裁衆院選違憲状態と判断したのは、最大格差が二・三〇倍だった二〇〇九年衆院選以降、三回連続。
今回の判決は、小選挙区定数の「〇増五減」に伴う区割り改定を「一定の前進」と評価する一方で、「さらなる格差の縮小を可能とする制度の検討と集約を早急に進める必要がある」とも指摘した。
違憲状態は、裁判官十四人のうち九人の多数意見。一方、「違憲」と判断したのは三人で、うち二人は「選挙無効」とした。また「合憲」は二人だった。〇増五減に伴う区割り改定時に内閣法制局長官だった山本庸幸(つねゆき)裁判官は、審理に参加しなかった。
判決は、昨年衆院選について「最大格差は二・一三倍で、格差が二倍以上の選挙区が十三あるなど、投票価値の平等に反する状態」と認定。〇増五減に伴う新たな区割りで最大格差が縮小したことや、国会で格差是正に向けた議論が続いていることを踏まえ、「合理的期間内に格差が是正されなかったとはいえない」として、違憲判決には踏み込まなかった。
違憲と判断した大橋正春裁判官は「判決確定六カ月後に全選挙区を無効とするのが相当」、木内道祥(みちよし)裁判官は「有権者の少ない一部選挙区を即時無効とする」との反対意見を付けた。昨年衆院選の一票の最大格差は、議員一人当たりの有権者が最も少ない宮城5区と最多の東京1区の二・一三倍だった。一審の十四の高裁・高裁支部判決(計十七件)は、「違憲」が一件、「違憲状態」十二件、「合憲」四件と判断が分かれていた。

http://www.courts.go.jp/

事件番号  平成27(行ツ)267
事件名  選挙無効請求事件
裁判年月日  平成27年11月25日
法廷名  最高裁判所大法廷
裁判種別  判決
結果  破棄自判
判例集等巻・号・頁  
原審裁判所名  福岡高等裁判所
原審事件番号  平成26(行ケ)4
原審裁判年月日  平成27年3月25日
判示事項  
裁判要旨  平成26年12月14日施行の衆議院議員総選挙当時において,公職選挙法13条1項,別表第1の定める衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りは,前回の平成24年12月16日施行の衆議院議員総選挙当時と同様に憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったが,憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとはいえず,上記各規定が憲法14条1項等の憲法の規定に違反するものということはできない

全文
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/495/085495_hanrei.pdf

平成27年(行ツ)第267号,第268号 選挙無効請求事件
平成27年11月25日 大法廷判決
主 文
1 原審被告らの上告に基づき,原判決を次のとおり変
更する。
原審原告らの請求をいずれも棄却する。
2 原審原告らの上告を棄却する。
3 訴訟の総費用は原審原告らの負担とする。
理 由
平成27年(行ツ)第267号上告代理人升永英俊ほかの上告理由及び同年(行
ツ)第268号上告代理人定塚誠ほかの上告理由について

(36ページ)
裁判官大橋正春の反対意見は,次のとおりである。
私は,多数意見と異なり,平成23年大法廷判決において憲法の投票価値の平等
の要求に反する状態に至っているとされた旧選挙区割りは本件選挙区割りによって
違憲状態が解消されたことにはならず,したがって憲法上要求される合理的期間
内における是正がされなかったもので,本件選挙区割りは憲法の規定に違反すると
考えるものであり,また本件では事情判決の法理を適用すべき事情はなく,本件選
挙区割りに基づいてなされた本件選挙は本判決確定後6か月経過の後に無効とする
のが相当であると考える。




(40ページ)
裁判官鬼丸かおるの反対意見は,次のとおりである。
私は,多数意見とは異なり,本件選挙時の選挙規定は憲法に違反するに至ってお
り,本件選挙についてその違法を宣言することが相当であると考える。以下にその
理由を述べる。
....

私は,衆議院議員の選挙における国民の投票価値につき,憲法は,できる限り1
対1に近い平等を基本的に保障しているものと考える。

その理由は,両議院議員は,日本国憲法の前文,13条,14条1項,15条1
項,44条ただし書に規定されているとおり社会的身分等により差別されることの
ない主権者たる国民から負託を受けて国政を行うものであり,正当な選挙により選
出されることが憲法上要請されていると解されるところにある。



(46ページ)
裁判官木内道祥の反対意見は,次のとおりである。


....


したがって,この12の選挙区については選挙無効とされるべきであり,その余
の選挙区の選挙については,違法を宣言するにとどめ無効とはしないこととすべき
である。この12選挙区について選挙が無効とされると,その選挙区から選挙人が
選出し得る議員はゼロとなるが,これは,選挙を無効とする以上やむを得ないこと
であり,較差を是正する法改正による選挙が行われることにより回復されるべきも
のである。




事件番号  平成27(行ツ)253
事件名  選挙無効請求事件
裁判年月日  平成27年11月25日
法廷名  最高裁判所大法廷
裁判種別  判決
結果  棄却
判例集等巻・号・頁  
原審裁判所名  東京高等裁判所
原審事件番号  平成26(行ケ)24
原審裁判年月日  平成27年3月25日
判示事項  
裁判要旨  平成26年12月14日施行の衆議院議員総選挙当時において,公職選挙法13条1項,別表第1の定める衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りは,前回の平成24年12月16日施行の衆議院議員総選挙当時と同様に憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったが,憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとはいえず,上記各規定が憲法14条1項等の憲法の規定に違反するものということはできない

全文
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/494/085494_hanrei.pdf

平成27年(行ツ)第253号 選挙無効請求事件
平成27年11月25日 大法廷判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。
理 由
上告人兼上告代理人山口邦明,同國部徹及び同三竿径彦の上告理由について