言わねばならないこと(58)情報公開 市民の声で 公文書管理の専門家・瀬畑源氏 - 東京新聞(2015年11月25日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/himitsuhogo/iwaneba/list/CK2015112502000200.html
http://megalodon.jp/2015-1125-1112-55/www.tokyo-np.co.jp/article/feature/himitsuhogo/iwaneba/list/CK2015112502000200.html

機密を漏らした公務員らに厳罰を科す特定秘密保護法が十二月から完全施行され、武力で他国を守る集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法も来春までに施行される。自衛隊が戦地に行く確率が高まるが、それに関する情報は秘密法が壁になり、なかなか出てこないだろう。秘密法で、漏えいすれば国の安全保障に著しい支障を与える恐れがあるとして特定秘密に指定できるからだ。
そもそも内閣法制局は、憲法解釈を変えて、集団的自衛権の行使を容認した昨年七月の閣議決定に関する内部検討の議事録を残していなかった。文書自体がなければ、公開しようにもできない。
国会や市民はこれまで以上に、政府に対して、情報を出させる圧力をかけ続けなければならない。市民が圧力をかける武器として、公文書管理法や情報公開法がある。情報公開請求すれば、行政側が公文書管理法に従って、意思決定の文書を作っているかチェックできる。
情報はいずれ公開され、検証されるべきもので、文書を残すことは現在と未来の国民への説明責任だと、国民が声を上げ続けることが大事だ。政府に説明のつかないようなことをさせない効果がある。
国会で秘密法や安保法が審議された際、大勢の若者らが国会前に集まって反対の声を上げた。結果的に両法とも成立したが、情報を出すべきだとの要求や安保法への批判が大きいことを示した。政府・与党や官僚は、簡単には両法を運用できないと感じたはずだ。
来年三月末に公文書管理法の見直し時期を迎える。文書義務化の対象拡大や、公文書を管理する国立公文書館の体制強化なども働き掛ける必要がある。
<せばた・はじめ> 1976年、東京都生まれ。長野県短大助教。著書に「国家と秘密 隠される公文書」(共著)など。