安保関連法:成立2カ月 活動広げる若者 - 毎日新聞(2015年11月19日)

http://mainichi.jp/area/news/20151119ddp041010024000c.html

■デモ行進など継続
憲法勉強会を開催
参院選支援も模索
集団的自衛権の行使を容認する安全保障関連法の成立から19日で2カ月となる。法案の成立を阻止しようと声を上げた若者たちは、今もデモ行進や路上アピールを続けている。試行錯誤しながらも、市民向けの勉強会を企画したり、来夏の参院選での安保法反対の候補の支援を模索したりするなど活動の幅を広げる新たな動きも出てきた。パリでの同時多発テロなど国際情勢の緊張が高まる中、国の行く末を案じる若者たちの手探りが続く。【下原知広、浅野翔太郎、大平明日香】
北九州市を拠点に活動する若者グループ「FYM−kita9」は安保法の廃止を訴える街頭活動を続けている。15日夜には同市のJR小倉駅前で沖縄の米軍基地移設問題についても声を上げた。法成立3カ月となる12月19日には弁護士や労組などと安保法などに反対する大規模集会を開く予定だ。メンバーで飲食店勤務の谷本咲太郎さん(25)は「安保や憲法改正の問題ばかりでなく、この国の問題を包括的に考えて活動していきたい」と力を込める。
長崎市の「N−DOVE(エヌダブ)」も法案成立後、月1回ペースでデモを続けている。参加者は依然中高年中心で、若者をどう巻き込むかが課題だ。そこで14日に弁護士らから憲法について学ぶ勉強会「憲法カフェ」を開催。20〜30代の女性を中心に約20人が集まった。共同代表の長崎大4年の筒井涼介さん(22)は「小さな集まりでも地道に続けていくことが大事。安保だけでなく、民主主義に関わる問題に対して積極的に声を上げたい」と語る。
来夏の参院選に視線を向けるグループもある。熊本県の「WDW熊本」の共同代表の一人、尚絅(しょうけい)大短期大学部2年の関根静香さん(25)は「これからの活動こそが大切」と話し、来夏の参院選では安保法反対を掲げる候補を応援するつもりという。熊本のもう一つのグループ「KOGYAN」と長崎市のN−DOVEも、参院選野党共闘の統一候補が出た場合は支援することを検討している。
パリで起きた同時多発テロも今後の活動に影響を与えそうだ。福岡市で安保法の廃止を訴え続けている「FYM」。メンバーで西南学院大4年の熊川果穂さん(22)は「日本も人ごとでなくなった。なぜテロが起きたのかその背景に目を向けるべきだ」と語る。安保法で他国軍の後方支援活動を行えば、日本がテロ組織の標的とされる可能性が高まると考えるからだ。「今もデモに飛び入りで参加してくれる人や、ツイッターに新たに投稿してくれる人がいる。続けることで賛同者はこれからも増えていく」と決意を新たにしている。