高校生がニュース専門サイト「青春基地」発信 - 東京新聞(2015年11月12日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201511/CK2015111202000140.html
http://megalodon.jp/2015-1112-0938-41/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201511/CK2015111202000140.html

「高校生だからできることがある」を合言葉に22日、インターネット上に高校生専門ニュースサイト「青春基地」が開設される。高校生自身が、話題の人にインタビューしたり、素朴な疑問を取材したりして、社会に発信していく構想だ。来年の参院選から選挙権年齢が18歳以上に引き下げられることについての記事も予定しており、10代と社会の距離はぐっと縮まる。 (木原育子、写真も)
「みんなはさ、いま、誰に会ってみたい?」
「安倍首相とか?」
「え〜。私は読(ドク)モ(読者モデルの略)に会いたい」
ツイッター運営企業の裏側を潜入取材したいな」
「高校生の金欠乗り切り術を特集したら、読者が増えるんじゃない?」
八日に東京都内であった青春基地の企画会議には、約十人の高校生ライターが集まった。丸テーブルで顔を突き合わせ、スマートフォンを猛スピードで操りながら、日ごろ抱える意見や思いをポンポン交わした。
基地には、代表を務める石黒和己(わこ)さん(21)=慶応大三年、愛知県豊山町出身=ら大学生の思いがある。今春、東京都文京区教育センターに開設された中高生の居場所「b−lab(ビーラボ)」で高校生と接する中で「俺には無理」「私にはできない」などと自信なさそうな姿を目の当たりにしてきた。
石黒さんは高校生だった二〇一二年、NPO法人「僕らの一歩が日本を変える。(ぼくいち)」をつくったメンバーの一人。若者の政治参加意識を高めるため、高校生百人と国会議員らの討論会を初めて開催にこぎ着けた「実績」がある。
「一歩踏み出す喜びを現役高校生にも経験してほしい。取材は、高校生の『やってみたい』『会ってみたい』っていう好奇心を満たせる可能性を感じる。自信も持てるし、知らないうちに社会と関われていると思う。私みたいに」
ツイッターフェイスブック(FB)で呼び掛けると、十五人の高校生から参加の申し出があり、サイト開設に結び付けた。
会議に初めて参加した都立千早高三年の中沢瀬那(せな)さん(17)は「高校生は発信が得意。今しかできないことを全力でやってみたい」とにっこり。お茶の水女子大付属高一年の生井(なまい)くるみさん(15)は「大人からは『ゆとり世代』ってひとくくりにされるけど、色眼鏡を外して私たちを見てほしいんだよね」と訴える。
青春基地の名前の由来を聞くと、石黒さんは「ロケット発射基地のように夢や可能性といったキラキラしたものを打ち上げる場所にしたい。挑戦し続けたいって私もワクワクドキドキなんです!」と、すこぶる明るい。
◆構想は大学生 デスクも
高校生ライターの感性を支える「デスク」は、6人の大学生が担う。国会議員事務所でのインターンや、文部科学省への入省を目指して勉強に励むなど、目的意識を持って学生生活を送っているメンバーだ。高校生が書いた記事は、大学生が事前に作成した「ライターマニュアル」に沿って見直した上で発信する。長文で記事をまとめるのが苦手な高校生は、大学生が協力しながら仕上げていくという。
記事は、インタビュー「会いたかったあの人」▽高校生事情を赤裸々につづる社会現象モノ「青春!」▽コラム「10代の主張」▽各学校での流行を追う「@school(学校で)」▽将来を考える「シゴトとシンロ」−の5テーマに分けて掲載する。
ライターマニュアルをまとめた一人、慶応大2年の千葉雄登(ゆうと)さん(19)は「高校生はもちろん、多くの人に読んでもらえる記事にしていく」と話す。
基地では高校生ライターを募集中。メールでのやりとりも可能のため全国から募っている。既に京都府内の高校生が参加予定。22日には青春基地ローンチ(立ち上げ)イベントも。参加申し込みや問い合わせは「青春基地」で検索。